<ロシア>

SSBJの開発研究

 

 ロシアの中央航空研究所(TsAGI) は、超音速ビジネスジェット(SSBJ)の設計研究を開始した。めざすところは、騒音が普通の旅客機と同じくらい静かで、都市上空でもソニックブームを生じることなく飛行ができるというもの。そのため上図のように、機首は細長くとがっていて、主翼は薄く、尾部には垂直尾翼2枚とエンジン4基がつく。

 

 これにはスホーイなど、ロシア国内の航空関連メーカーも協力し、エンジンもロシア製のものを装着する計画。そこで、上の図が軍用機の迷彩塗装になっているのは何故だろうかと英フライト・インターナショナル誌が疑問を呈している。

 

 なお、ロシアの超音速ビジネスジェット構想は、1990年代初めにもスホーイが米ガルフストリーム社と共同でS-21と呼ぶ機体の設計を始めたが、今なお実現していない。さらにツポレフもTu-444という提案(下図)をしたことがあり、モスクワからニューヨークまで4時間で飛べると宣伝していた。

 たしかに世界中を駆け回るビジネスマンや政治家にとって、今のビジネスジェットや旅客機では、欧州、アメリカ、東アジア、中東の間を飛び回るのに、片道7時間から12時間ほどかかるはずで、移動時間のムダは大いに嘆かわしいことであろう。超音速機の再登場が望まれるところだが、具体化するのはいつのことか。

(西川 渉、2012.3.26)

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