<エアバス対ボーイング>

旅客機の立ち席

 ボーイング787のセールスポイントは、エアラインにとって経済性が高いと同時に、乗客にとっては快適性が高いことだ。窓が大きく、与圧が高く、湿度も高くて、機内持ち込み手荷物の収納スペースが広いそうである。

 キャビンの座席数も、左右8列が標準だから、ゆったりと坐ることができる。ところが、同機を発注しているエアラインの多くが左右9列の配置にするという。これでは従来通り、隣同士で肘掛けの奪い合いをしなければならず、メーカーのせっかくの思いやりも薄れてしまいそうだ。

 キャビンの快適性が求められるのは、787が長距離機だからである。10時間以上もせまい座席に縛りつけられているのは、どうしても苦しい。2〜3時間の近距離を飛ぶのなら我慢できるが、長距離便の機内配置はエアラインにも再考して欲しいところである。

 おまけに、これは4月のニューヨーク・タイムズだが、旅客機に立ち席を設けるという恐ろしいアイディアを伝えた。最近それは否定され、タイムズ紙も訂正文を出したが、立ったままで10時間もの長旅をすればエコノミー症候群が続出すること間違いない。もっとも馬は立ったまま眠るようだから、人間にもできないことはないのかもしれない。

 人間を馬なみに扱うというアイディアは、エアバス社から出たものというが、本当かどうか。アメリカ側の陰謀かもしれぬが、詳しくは下図の通りである。


恐ろしい立ち席構想
下の普通の座席にくらべて前後ピッチが少なくてすむ。


最近は技術が進んで背もたれが薄くなり、
その分だけ前後のピッチ間隔をせまくできるようになったという。
したがってエアラインも座席数を増やすことができるが、
われわれ乗客からすれば、背もたれを薄くしても、 
ピッチ間隔は従来通りにしておいて貰いたい。ついでに言うと、
背もたれを厚くフワフワにして、後方へ倒れないのが最良である。

(西川 渉、2006.5.29)

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