<小言航兵衛>

ちょっと笑える話

 

 わが家の押入れをひっかき回していたら、本の山の中から1冊の古い本が見つかった。『ちょっと笑える話』(ベネット・サーフ、常磐新平訳、文春文庫、1983年刊)である。25年前に読んだものだが、今でもなかなか面白い。

 いつも小言ばかりでは気がひけるので、今日はこれをご紹介しようと思う。しかし、そのまま書き写したのでは芸がない。25年間の時間を一挙に飛び越えて、今の話に書き改めたのが下の3篇である。さらに「山と太陽のホームページ」にならってマンガをつけ加えた。英文も入れたかったが、残念ながら手もとに原本がないので、それはできなかった。

 ヒラリーは選挙ポスター用の写真のできばえに不満だった。「いやねえ」と彼女はいった。「この前、あなたに撮ってもらったときは素敵な写真だったわ」

「ええ、おっしゃるとおりです」と写真家はため息をついた。「でも、あのとき、私は8歳若かったのです」

 選挙戦に負けそうになったヒラリーは、支援者を総動員して町の中を走り回らせた。しかし資金がままならぬので、金を使わずに選挙民を説得するようにという指示である。そこで運動員の1人は、タクシーの運転手にもレストランのウェイターにも理髪店でも全然チップを出さずに、こう言った。

「必ずオバマに投票してくれよ」


選挙の勝負は資金の勝負

 ヒラリーの支援者が選挙運動で歩いていると、町の中で浮浪者につかまった。浮浪者は「何か食べたいんで、1ドルめぐんでください。必ずヒラリーさんに入れますから」と哀願した。

「葉巻はどうかな」と支援者はポケットに手を入れて取り出そうとした。「タバコは吸いません。何か食べたいんです」

「じゃあ、ウィスキーをおごろう」「酒は飲みません。欲しいのは食べ物です」

「それでは、こうしよう」と支援者は提案した。「私は明日ベルモント競馬場へ行く。必ず勝って配当は30倍になるという馬を知ってるんでね。その馬に、君のために1ドル賭けよう」

「いやです」と浮浪者は叫んだ。「私は博打はきらいです。そんなことはやめて、今ここで1ドルめぐんでくださいよ」

「わかった」と支援者はあきらめた。「それにしても、先ず女房に会ってくれないか。タバコも吸わず、酒も飲まず、博打もしない男がどうなるかを女房に見せてやりたいんだ」


ブッシュ政権の8年間で自由の女神もすっかりくたびれた。
新しい政権になって、果たして立ち直れるか。

(小言航兵衛、2008.2.18)

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