<シコルスキー>
X2高速試験機試作へ シコルスキー社は6月1日、同軸反転式の新しい実験用ヘリコプターX2の製作に着手すると発表した。ロータークラフトの速度性能向上が目的。
X2は、2つのローターが同軸で相互に反対方向へ回転し、尾部には推進用の補助プロペラがつく。これで高速飛行が可能となり、最大463q/hの高速をめざす。
シコルスキー社はすでに予備設計を完了しており、そこに採用された技術の中には新しいローターブレード設計、改良型の操縦装置、出力重量比の大きなトランスミッション、アクティブ振動制御装置などが含まれる。
技術の背景には、1973年に初飛行したXH-59Aがある。同機はシコルスキー社のいうABCローター(Advancing Blade Concept)が高速機に適することを実証したもので、PT6ターボシャフト2基とJ60ターボジェット2機を装備するものだった。試作1号機は1973年7月26日ジェット・エンジンなしで初飛行したが1カ月後ハードランディング事故を起こした。2号機は1975年7月21日に飛び、1977年3月胴体左右にプラット・アンド・ホイットニーJ60ジェット(推力1,360kg)2基を取りつけて飛行した。
ジェットのないときの純ヘリコプターとしては、最大水平速度296q/h、ダイブ速度355q/h。ジェット装備の場合は440q/hを記録した。
またサイファー無人機の実績もあり、同軸反転機におけるフライ・バイ・ワイヤ操縦装置を実証している。
ABC試作機XH-59A試作は傘下のシュワイザー・エアクラフト社でおこなうこととし、部品の製造に入った。2006年末までに飛ばす予定。
X2技術の最大の目的は回転翼機の速度性能の向上だが、そのためにヘリコプター本来のホバリング性能、垂直離着陸、低速運動、スムーズな遷移飛行などが損なわれることはない。
これまでの高速ヘリコプターの試みは、ホバリング性能の低下など、何らかの犠牲を伴うことが多かった。
(西川 渉、2005.6.9)