<ユーロコプター>

X3とX4の研究開発

 ユーロコプター社は近く、X4双発ヘリコプターの開発に着手するもよう。現用ドーファンの後継機を目的とするもので、総重量は9,000〜11,000ポンドと、AS365やEC155と変わらない。

 この開発には、ユーロコプター社としてフランス政府に2〜3割の資金援助を求めており、その決定が出るのが今年末。それを待って本格的な開発作業に取りかかる予定で、技術的には画期的な内容をめざすという。


試験飛行中のX3

 もうひとつ、ユーロコプター社はX3の開発試験を進めていることを明らかにした。同機は短固定翼を持ち、その両端にプロペラがつく。すなわちヘリコプターと固定翼機の両方の特徴を持ったコンパウンド機で、220ノットの高速飛行ができる。

 といって、先日250ノットの速度記録をつくったシコルスキーX2と異なり、高速飛行が目的というわけではない。高速巡航と航続距離と運航経費の調和を目的としている。

 エンジンはNH90と同じターボシャフト(2,450shp)が2基。これで主ローターのほか胴体左右に張りだしたプロペラを駆動する。このプロペラでトルクを打ち消すので、尾部ローターは不要。

 飛行能力としてはヘリコプターとターボプロップ機の両方の特性を有し、垂直離着陸やホバリングができると共に、高速・長航続の飛行も可能。 

 ユーロコプター社は、このX3について3年前から研究開発作業に着手、これまでずっと秘密にしてきた。が、ここで実証実験に成功すれば、同社の将来にとって、ひとつの道筋ができることにもなろう。

 X3の初飛行は9月3日であった。今年末まではエンジン出力を抑え、180ノット程度で飛びながら徐々に飛行性能範囲を広げてゆく。そして、いったん分解検査をしたのち、2011年3月から飛行を再開、220ノット以上の高速飛行をめざすことにしている。

(西川 渉、2010.10.13)

 

表紙へ戻る