<野次馬之介>

エアバスA380巨人機の座席数

 

 今週の英フライト・インターナショナル誌が面白い表を載せている。エアバスA380巨人旅客機の座席数が、エアラインによってどのように違うかを示すものだ。具体的には下表の通りだが、3日前に日本航空の座席の話を書いたばかりで、その余韻が残っていたのでA380の座席表もすぐ目についた。

 A380は本来850人乗りといわれた。無論そのとおりだが、ファ―ストクラスやビジネスクラスを設けると、1席当たりの床面積が大きくなるので、その分だけ全体の座席数は少なくなる。そのため実際に飛んでいるA380は最も座席数の多いもので500席程度、少ない機体は400席程度となっている。

A380の座席数

エアライン

ファ―スト

ビジネス

プレミアム

エコノミー

合  計

エールフランス(1)

9

80

449

538

エールフランス(2)

9

80

38

389

516

英国航空

14

97

55

303

469

中国南方航空

8

70

428

506

エミレーツ航空(1)

14

76

399

489

エミレーツ航空(2)

14

76

427

517

大韓航空

12

94

301

407

ルフトハンザ航空

8

98

420

526

マレーシア航空

8

66

420

494

カンタス航空(1)

14

72

32

332

450

カンタス航空(2)

14

64

35

371

484

シンガポール航空(1)

12

60

399

471

シンガポール航空(2)

12

86

311

409

スカイマーク航空

114

280

394

タイ航空

12

60

435

507
〔注〕他のエアラインは座席数が未確定だが、エールオーストラルは約840席、
カタール航空は517席、トランスアエロは約700席になるもよう。
〔資料〕英フライト・インターナショナル誌、2012年12月18日号

 A380は最近までに300機近い注文を受け、100機近くが飛んでいる。この中で馬之介が経験したのはシンガポール航空だけだが、もはや2年ほど前、野次馬根性丸出しでエコノミークラスに乗り、シンガポールまで飛んだ。この初めての体験は、きわめて静かでスムースな離陸が印象的だった。他の旅客機がエンジンをいっぱいに噴かし、機内の建て付けをガタガタゆるがせながら、重力に抗して無理矢理に地面を離れるのに対し、A380はさほど大きなエンジン音もないまま、そっと動き出したと思ったら、いつのまにか宙に浮いているという感じだった。

 それに2階のエコノミー席は窓側の肘掛けの向こうに物入れがあって便利だし、そのふたの上に物を置けるので、広く使うことができる。ただし前席の背もたれが倒れてくると矢張り窮屈で、パソコンなども使いにくくなる。

 2度目はロサンゼルスまでビジネスクラスで飛んだ。座席は1人半の幅があり,夜はフルフラットでわが家のベッドと同じように寝ることができる。と、云いたいところだが、本当は往路、何故か殆ど眠れなかった。帰路は少し慣れたのか、アメリカ各地を飛び回って疲れたせいもあり、よく眠ることができた。もっとも、フルフラットはA380ではないが、ほかのエアラインでも経験している。馬之介だって、歳を取ってくると、だんだんくたびれやすくなるのだ。

 なお、シンガポール航空のA380は、最近の機体ではビジネスクラスを増やし、エコノミー席を減らしている。ビジネスクラスの評判が良く、乗客も多いのであろう。

 シンガポール航空よりもビジネスクラス席の多いのが、上表に見るように大韓航空である。逆にエコノミー席は最も少なく、総座席数も上表の中で二番目に少ない。とすれば機内の混雑ぶりも少なく、気持ちの良いサービスを受けられるのではないだろうか。

 座席総数の最も多いのはエールフランスである。エコノミー席も最多だ。次いで、同じヨーロッパ勢のルフトハンザ航空も多く、いずれも500席を超えている。ほかに500席を超えるのは中国南方航空、タイ航空、エミレーツ航空である。

 上の表の中で、座席数の最も少ないのは日本のスカイマークで、394席となっている。そのうえエコノミー席をなくした贅沢な座席配置である。このほかには、400席未満のエアラインは見あたらない。スカイマークは1913年度なかばから仙台や高松へ就航する計画。また2014年からはニューヨーク・ケネディ空港への就航準備を進めていると聞く。

 逆に座席数の多いのはエール・オーストラルで、840席程度というから、これは全席エコノミークラスで、おそらく観光チャーター便に使うのだろう。さらにモスクワのドモデドボ空港を拠点とするトランスアエロも約700席のA380を発注している。ロシアから地中海の暖かい観光地へ、チャーター便として使うにちがいない。

 なおA380二階建て巨人旅客機は、最近までに298機の注文を受けている。うち262機が確定注文で、その中の97機がエアラインに引渡された。うち19機をシンガポール航空、31機をエミレーツ航空が運航中。

 2012年の最近までの実績は受注数が9機、引渡し数が30機であった。

(野次馬之介、2012.12.31)

 

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