<ボーイング>

787Xと777X


3種類の787

 

 ボーイング社が787-10Xの開発に向けて動き始めた。当面エアラインに対する提案を進め、受注の見こみをつけた上で本格的な開発に着手する予定。

 ボーイング787旅客機は、標準型の787-8(乗客250人)が最近までに35機引渡され、定期路線に飛んでいる。そのストレッチ型787-9(290人)も2014年の就航をめざして開発中。

 787-10Xは2つめの派生型で、787-9(全長62.7m)の胴体を5.4mほど延ばして乗客320〜330人乗りとするもの。航続距離は12,400kmと、やや短くなるが、東京〜シアトル間を飛ぶことができる。これでエアバスA330に対抗し、開発が進んでいるA350-900より運航コストが安くなるという。

 787-10Xの最大離陸重量は250トン。エンジンはGEnx-1BまたはRRトレント1000TENで、いずれも推力35トン。

 市場目標は中東から欧州およびアジア向けの路線と、大西洋線。目下シンガポール航空や英国航空への売り込み交渉が進んでおり、今年中に具体化すれば、2018〜19年頃就航の見こみ。

 もうひとつ、ボーイング社は次期大型旅客機777Xについて、翼端の折りたたみができるというアイディアを検討中。これにより、旅客ターミナルのゲートに入るときや誘導路では翼端を折り曲げ、空母の艦載機と同じような格好で走行し、離陸時や飛行中は翼端を延ばす。基本的なアイディアは下図の通りだが、最終的な設計は777Xの設計が完成する2014年頃になるもよう。

 もっとも、777には当初から翼端を折りたたむアイディアがあり、1995年に特許も取っている。したがって、エアラインが希望すれば、スパン60mの主翼両端を折りたたむことも可能だったが、その希望はなく、今日まで実現しなかった。新しい777Xは主翼スパンが長くなり過ぎることから、昔のアイディアが復活してきたもの。


シアトル・タイムズ紙(2012年11月6日付)より

 777Xは2020年頃までに就航する計画で、燃料効率の良いエンジンや薄くて空力特性にすぐれた主翼、あるいはカーボン複合材の使用など、787の開発から得られた技術を取り入れ、大幅改良がなされる予定。主翼スパンも71mまで広がる。これはボーイング機最大の747-8よりもさらに2.7mほど大きい。

 1995年当時の折りたたみ翼は、両端を6.4mずつ上方へ折り曲げることになっていた。しかし今の国際的な空港規定のひとつは、主翼スパンを65m以下と規制していることから、777Xは主翼両端を1.5mずつ短縮し、合わせて3mほど短くする。

 いっぽうエアバスA380は別の規定によって、主翼スパンが80m。したがって乗り入れ可能な空港も少ない。これに対して777Xは主翼スパンを短縮することにより、もっと多くの空港に乗り入れられるようにして、それだけ多数の機体を売りたいというのがボーイング社の考え。777は今年3月、量産数が1,000号機に達した。

 なお、747-8の売れゆきが少数にとどまっているのは、主翼スパンが68.5mで、65mの規定を超えているためとも見られる。

(西川 渉、2012.11.15) 

 


777

表紙へ戻る