<ボーイング>

747-8が今秋初飛行 

 ボーイング社が開発中の747-8は、まもなく初飛行すると伝えられる。懸案の787も今年中に初飛行というから、時期的にはほとんど重なる。そんなことができるのかという疑問もあるが、ボーイング社は強気で2つの計画を同時並行的に進めるとしている。

 おそらく初号機は11月初めにも飛ぶ予定で、787よりも早くなると見られる。しかも試験飛行用の3機を全て今年中に飛ばすというのだ。

 747-8は787と異なり、ボーイング社の伝統的な手法で製造された。つまり主翼断片の部品設計から機体の最終組立まで、すべてシアトルのエバレット工場で設計され、製作される。

 改良の内容は主翼が新しくなり、エンジンも787のそれを基本とする派生型の新GEで、操縦室のアビオニクス類も最新のものを採用している。キャビンは787の新しい技術と内装を準用した。

 胴体は現用747-400にくらべて18フィート長い。これで旅客機としては51席増の467席になる。また貨物機としては、容積が26%増。

 問題は、ただし、この飛行機が787ほど売れていないこと。最近までの受注数は105機で、787の850機には遠く及ばない。そのうえ受注数の大半は貨物機で、旅客型の787-8Iはルフトハンザ航空が20機を注文しているだけ。

 それというのも現下の経済不況では、どのエアラインも乗客の減少に合わせて、路線を削り、便数を削り、機体を小さくするのに懸命で、新たにジャンボ機を買うなどと考えるところは少ない。

 しかし、景気が回復すればジャンボ機も売れる。これまで長年にわたって航空界に君臨してきたジャンボ機のこと。新しく生まれ変わった747ー8も売れないはずはないとボーイング社は確信する。

 おそらくは向こう15年間に400機くらいと予測するむきもある。そうなれば、650億ドルくらいの収入になる。一方、これまでの研究開発費は30〜40億ドルだから、大いに利益は上がるはず。

 もうひとつ747-8に期待が持てるのは、競争相手のエアバスA380が大空港でなければ発着できないのに対し、747-8はほとんどの国際空港で離着陸できる。もっと基本的に、747-8は800機以上が飛んでいる現用747の発達型で、乗員にはなじみが深い。外観も変わりがなく、しかも一周り大きなジャンボ機が空を飛ぶ姿を見れば、誰でも欲しくなるにちがいない。全く新しいA380のような違和感はないはず、とボーイング社は強気で開発を進めている。

  【関連頁】

 ボーイング747-8の新しいキャビン(2007.1.25)

(西川 渉、2009.9.17)

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