<ボーイング>

747-8の新しいキャビン

 

 ボーイング747-8発達型巨人旅客機は去る12月、ルフトハンザ・ドイツ航空から20機の注文を受けて正式開発がはじまったが、先週そのキャビン・モックアップが公開された。基本的には、新しい787のデザインを採り入れたという。

 747のような大型機は乗客が多い分、快適性は損なわれる。かつて、30年ほど前だったか、この巨人機に初めて乗ったときは、キャビンの広さに感嘆の声をあげたものだったが、今では洞窟にもぐり込むような気分で機内に入り、身体をななめにしてギャレーの横を通り抜け、せまい通路をうろうろしながら自分の座席を探さねばならない。

 これに対して新しい747-8は、入り口を入ったところが広い玄関ホールになっていて、ゆったりとカーブした階段が2階デッキへ伸びてゆく。エコノミー席も頭上の手荷物入れが高くなり、背の高い人でも腰をかがめる必要がない。

 というのも天井が高くなったためだが、さらに側壁の照明にも工夫があり、窓も777と同じで、747-400よりも大きく、キャビン全体が広々と快適な感じになった。

 実は、旧い747に対して、777は小さいにもかかわらず、機内は広く感じられる。それよりも、もっと広々しているのが新しい747-8だとボーイングはいう。

 

 なお、747-8旅客機は747-400に対して胴体を5.6m引き延ばし、3クラスの標準座席数は467席。これで1席あたりのコストも1割ほど安くなる。航続距離は14,800km。就航は2010年の予定。

 また747-8貨物機は最大ペイロード140トンで、747-400Fよりも16%ほど搭載量が増え、航続距離は8,200km。トン・マイル・コストも15%減となる。その1号機は2009年末、カーゴラックスで就航する。

 最近までの受注数は、旅客機と貨物機を合わせて9社から78機になった。

 

 747-8の入り口をはいったところにある階段は、乗客に強い第1印象を与えるだろうとボーイングはいう。これをシアトル・ポスト紙は「ディスコみたい」と評しているが、アメリカ語の discolike とは好い意味か、からかっているのか、私にはよく分からない。

747-8Iインターコンチネンタル

(西川 渉、2007.1.25)

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