<野次馬之介>
法廷闘争 ![]()
韓国アシアナ航空の事故をめぐる場外乱闘は、今や本格的な法廷闘争になってきた。というのは、事故機に乗っていた乗客83人がシカゴの弁護士事務所を通じて、ボーイング社を訴えたからだ。訴状によれば、事故はオートスロットルの故障が原因としている。
さらに弁護士事務所は、アシアナ航空や装備品メーカー数社に対しても、訴えを起こすことになろうと、次の闘争方針を示している。オートスロットルが問題というだけでなく、緊急脱出用スライドの中に機内で展開したものがあったからだ。そのため乗客がけがをしたり、脱出を阻まれたりした。事故機のスライドは8ヵ所についていたが、そのうち2ヵ所のスライドがキャビン内部に向かって開き、客室乗務員2人が下敷きになって、一時動きが取れなくなったという。
また座席ベルトがなかなか外れず、ナイフで切って逃げ出した乗客もあったらしい。もっとも、その乗客がなぜナイフをもっていたのか。この飛行便は上海発、ソウル経由だったというが、それらの空港で保安検査はどうなっていたのか。
こうした問題に関して、訴状はボーイング社が、オートスロットルや脱出用スライドなどのメーカーと設計者を明らかにするよう要求し、アシアナ航空に対しては、事故機の整備記録や内部文書その他の証拠書類を保存するよう求めている。
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なお事故の原因について、パイロットは依然、進入速度は自動装置によって維持していたと主張している。一方、NTSBの事故調査団はオートスロットルがアームド(待機)の状態にあって、実際に作動していたかどうかは、まだ確定できないとしている。
馬之介の見るところ、パイロットがオートスロットルを使っていなかったとすれば、速度の低下はパイロットのエラーになる。オートスロットルを使っていれば、それでも速度が低下したのは装置の故障といえるかもしれない。いずれにせよ、実際問題として速度は低下したわけで、このときコクピットには交替要員を含めて3人のパイロットがいた。その誰もが衝突の7秒前まで速度の低下と、それに伴う異常な低空飛行に気づかなかったのだろうか。真相は遠からず、明らかになるだろう。
(野次馬之介、2013.7.18)
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