<エアバスA380>

緊急脱出テスト

 このほどA380の乗客、乗員合わせて873人の緊急脱出テストがおこなわれた。結果は合格だったらしく、今年中に型式証明取得の目処(めど)がついたとエアバス社はいう。

 テストに使われたのはドイツのハンブルグに置いてある原型7号機。標準座席数は550席だが、エコノミー席ばかりの高密度配置で853席を想定、パイロットやスチュワーデスなどの乗員20名を加えて873人の脱出テストとなった。

 これら全員は規定通り、90秒以内に地面に降り立つことができた。使われた非常口はA380の全部で16ヵ所のうち半分のみ。そこから脱出シュートを滑り、夜間の暗闇を想定して照明を消した格納庫内に降りた。また機内の通路には小さな手荷物などの障害物がまき散らされていた。それでも実際に80秒後にはキャビンが空になったという。

 ただし1人が足を折り、ほかに32人が軽傷を負ったという。その中には滑っているときの摩擦熱で軽いやけどを負った人もあるらしい。それでも命に別状はないわけで、脱出は成功ということになるのだろう。テストには欧州航空安全局(EASA)と米FAAが立ち会っており、合否の正式判定には1週間ほどかかるという。この判定が不合格の場合は、1週間ほどのうちに別の873人によって再テストがおこなわれる。

 なおボーイング社の地元シアトルの新聞は、この脱出テストのもようを「33人が怪我」という大見出しで報じた。

【関連頁】

   A380からの脱出(2005.4.8)

 

(西川 渉、2006.3.28)

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