<エアバス>
A380受注数200機に到達 A380の受注総数が200機に達した。去る2月に大韓航空が2機を追加発注したことによるもの。
この2階建ての超巨人旅客機は紆余曲折がつづき、引渡し開始も1年半の遅れとなったが、ようやく軌道に乗り始めたかに見える。発注エアラインは今のところ16社という。
A380の開発着手は2000年12月。その時点での受注予測は向こう20年間で1,200機という見通しだった。初めて注文を受けたのは2001年3月で、2年後には早くも100機になった。しかし、その後の注文はなかなか増えず、ボーイング747が40年前に開発を始めたときのように最初の4年で受注200機というほどの勢いはなかった。
というのも、747計画が始まった1960年代後半は世界的な経済拡大の時代だったが、現状は2001年秋の911同時多発テロにつづいて、世界的な経済不況に見舞われているためとエアバス社はいう。
それでもA380の生産は2014年の分まで売約ずみとなっている。
747はこれまで、当初の基本型を1,400機、その後の747-400を400機売りさばいた。だが新しい747-8Iについては、A380に抑えられて、20機余にとどまっている。
こうして超大型機について、今後はA380の一人舞台ということになれば、今の顧客16社だけでも追加発注によって400機になるだろうし、その他のエアラインも747現用機の引退につれてA380を発注することになろうとエアバス社は見ている。
しかし、やや懐疑的な見方をするむきもあって、今の受注総数200機のうち58機はエミレーツ航空からの注文だが、ドバイを初めとする中東の好況がいつまで続くのか。他の中東エアラインからの注文も合わせると全体の3分の1が中東からで、これでは足もとが定まらないのではないかという見方もある。
A380は今年に入ってからも3ヵ月間の受注数は10機に過ぎない。全日空も導入検討を中断してしまったので、当分大きな受注は望めないと見られる。
なお受注200機の発注者別の内訳は下表のとおりである。
エアライン 発注機数 エミレーツ
58 カンタス
20 シンガポール
19 ルフトハンザ
15 エールフランス
12 英国航空
12 ILFCリース
10 大韓航空
10 エチアド航空
10 タイ
6 ヴァージン
6 マレーシア
6 カタール
5 キングフィッシャー
5 中国南方航空
5 VIP自家用
1 合 計 200 ところで先月、筆者はオーストラリアへの調査行に際して、A380に乗る機会があった。格安の航空券を買ったので、ビジネスクラスは素通りしただけ。スイートクラスなどは拝むこともできなかったが、2階デッキの最後尾の座席にもかかわらず、乗り心地は悪くなかった。
特に離陸のときも極めておとなしく、出力に余裕があるのか、しずしずと走り出したと思ったら、ふわりという感じで地面を離れた。まあ最後尾なので、上昇中はいささかダッチロールが感じられたが、後で乗継ぎをしたボーイング777は、同じシンガポール航空の機体だったにもかかわらず、体中をふるわせながら家鳴り震動と共に全力を挙げて離陸する感じで、なんだか気の毒な気がした。
この2階席は、私は左右4列の中の島の座席だったが、窓側は左右2列で、窓の下には手荷物入れもあって、それだけ余裕がある。エコノミー席なら、ここがお得ではないかと思ったりした。
シンガポール航空には昔、東南アジアで仕事をしていたときはよく乗ったが、近年では久しぶりだった。スチュワデスの応対は昔ながらに丁寧で、気持ちが良い。お酒も、アメリカのエアラインと違って、無料であった。次の外国旅行も、これにしたいと考えている。
成田空港で乗る前に撮ったシンガポール航空のA380(西川 渉、2009.3.30)
【関連頁】
A380受注数と引渡し数(2007.10.24)
A380の引渡し開始(2007.9.16)
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