<アグスタウェストランド>

改良型コアラA119Keを発表

 アグスタウェストランド社は小型単発タービン・ヘリコプターA119コアラの改良型、AW119Ke(Koala enhanced)を発表した。同機は、これまでと同じP&WC PT6B-37Aターボシャフト・エンジンを搭載するが、主ローターブレードを再設計して空力特性を改善し、回転数を上げて揚力を高め、総重量を2,720kgから2,850kgへ増やしながら、高温・高地性能が良くなるという。総重量の増加に伴って、降着装置も強化される。

 AW119Keの量産は間もなく在米フィラデルフィア工場で始まる。1機当りの価格はA119の195万ドルより、やや高くなる程度という。

 アグスタウェストランド社の2006年中の民間向け受注実績は274機で、前年の2倍近い記録となった。引渡し数も40機増の170機となっている。

 これら民間向け各機の累計受注数はA119コアラが110機、A109パワーが390機、ストレッチ型のA109グランドが120機となっている。

 A109は中国でも製造が始まっており、北京首都公安向け2機のパワーは目下、最終組立て段階にある。

 またAW139の製造については、トルコTAIとポーランドのPZLスウィドニク社と提携している。TAIはAW139の胴体200機分を製造する。なおAW139は、このほどロサンジェルス消防から2機を受注した。

 アグスタウェストランド社のトップは、HAI大会の記者会見で、ティルトローター機の将来に強い期待を示した。ベル社との間で開発中の民間向けティルトローターBA609は、原型2号機がイタリア側で飛んでいるが、6月のパリ航空ショーにも出場すると見られる。

 BA609は最近までに約60機の注文を受けている。その開発が長引いているのは機構が複雑なゆえだが、いったん完成すれば時間がかかっただけの価値を発揮するであろう。型式証明の取得目標は2010年。ティルトローターは将来の航空界の一分野を占める重要な存在になると見ている。


BA609のモックアップ

【関連頁】

   BA609原型2号機が初飛行(2006.11.21)

(西川 渉、2007.3.7)

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