シャンゼリゼにて

 

 この10日余り、ドイツ、フランス、イギリスのヘリコプター救急の現場を訪ね歩いて来ました。そのため本頁の更新もできず、ご愛顧をいただいている皆様には、せっかくアクセスしていただきながら、いっこうに変化のない画面を見ていただく結果となりました。ここにお詫び申し上げます。

 パリではSAMUの救急ヘリコプターを運航しているヘリキャップ社を訪問しました。セーヌ川に近いパリ・イシー・ヘリポートにある本社で話を聞くことができました。その内容は、いずれ本頁でもご紹介できると思います。

 ヘリポートからの帰り、時間が余ったので雨のシャンゼリゼ通りを散歩しました。銀ぶらならぬ「シャンぶら」といったところですが、その目抜き通りに面してトヨタ自動車の展示サロンがありました。

 何台かの車が並んでいて、運転席にすわったお客さんに係りの人が説明をしていました。無論どちらもフランス人で、日本製の車をはさんでフランス語が飛び交っている様は、ちょっとした感慨をもよおします。

 もっとも、このサロンは、最終的には車を売るのが目的でしょうが、取りあえずはシャンぶらの途中でちょっと立ち寄って休憩してもらう。パリジャンたちが気楽に足を踏み入れて、お茶を飲みながら車を眺めているうちに日本の自動車に関心を持つ。そういう接点をつくるのが主旨だそうです。

 そのため2階には20人分くらいの椅子やテーブルが置いてあり、小さな洒落たバーもあって、お昼どきには軽い食事もできるようになっていました。バーは何も夜の酒場ということではなく、フランス人が昼間からワインをたしなむためです。テーブルの横にはパソコンも置いてあって、お茶を飲みながらインターネットが楽しめる仕組みになっていました。

 私もやってみましたが、日本語システムが入っていないので、日本のホームページを見ることはできない。と思いきや、奥のレクサス・ルームという高級車の商談をする部屋のコンピューターには日本語が組み込んであり、わが『航空の現代』を見ることもできました。

 日本を出てから8日目のことで、8日間の留守中に604人の方にアクセスしていただいたことが分かりました。まことに有難いことと思います。

 そう思いながら、本日帰国したところ、なぜか拙宅のパソコンPC9821V13が動かなくなっておりました。3年半ほど前に買ったものですが、機械の中でうなり声がしたり、「ピー」という甲高い悲鳴をあげたりして、あちこちいじくっているうちに「MSDOSのシステムをインストールします――MS-DOS Ver5.0以降のマスターディスク#1を入れてください」という表示が出て、そのあとは押しても引いても叩いても完全に動かなくなりました。

 OSがいかれたとなれば、どうやら根本的な故障で、要求されるような基本的なディスクも手もとにはなく、まことに困ったことになりました。取りあえず、この文章は別の機械で作っておりますが、もともと本頁の作成やプロバイダーへの送りこみはPC9821からISDN経由でやっておりましたので、非常に不便になりました。2〜3時間かかって別の機械の設定をやり直しましたが、高速ISDNはまだ使えません。

 むかし読んだ初心者向けの本に「コンピューターは壊れにくくできているから、キー操作なども安心して、どんどんやってよい」と書いてありました。なるほどハードはそうかも知れませんが、ソフトは操作を間違えるとすぐにトラブルを起こし、その修復に手間がかかり、まことに困ったことです。もっとも今回の故障は何の操作もせずに2週間近く放置してあったのが原因かと思われますが、何故そうなるのか分かりません。

 こんな、わずかな作文を本頁に掲載するのにも何時間もかかってしまいました。先が思いやられます。

(西川渉、99.10.4)

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