本頁と主頁



 7月20日付の『朝日新聞』に、中国がインターネットの訳語を「因得網」に統一するという記事があった。これまでは「国際互聯網」とか「網際網」「計算機互聯網」など十数種類の言葉が使われていたという。これを一つに統一したわけで、因得はそのままインターという音であり、網はもとよりネットの意味である。音と意味を組み合わせて、新しい言葉をつくったらしい。

 漢字の元締めである中国に文句をつける積もりはないが、中国語にはかねて「電脳」(コンピューター)という、まことに優れた訳語がある。それと対をなす意味でも、インターネットは「電網」がふさわしいし、是非そうして貰いたかった。「因得」という文字が中国人にとってどんなニュアンスが感じられるのかは知らぬが、何だか残念である。


 もうひとつ同じ記事の中に、ホームページは「主頁」にするということも書いてあった。これは、我が意を得たというところまではいかないが、私も以前からホームページは「本頁」にすべきだと考えていたので、当たらずといえども遠からずではないかという気がした。

 ホームページという言葉は、そのままカタカナの日本語にするとどうも間延びがして良くない。ホームベースやホームプレートを本塁、ホームランを本塁打、ホームランドを本国というように、ホームページは「本頁」がいいのではないか。日本語としては、発音だってよく似ているし、意味と音の両方から見ても適当ではないかと思う。

 私のこのような提案は、この本頁でも「電網恢恢」に今年1月2日付けで掲載しておいたから、お目に留まった方もいるかもしれない。そもそも、この「航空の現代」の目次に出てくる「本頁篇」というのも、私なりにホームページの意味と、もう一つ、この電網サイトの主要なテーマを集めたグループという意味を兼ねさせたつもりであった。

 とにかく、インターネットやホームページは、是非ともきちんとした漢字を当てた日本語にすべきだと思う。電脳、電網、本頁などの文字を使えば、だらしのないコンピューター関連の文章にも締まりが出てくると思うのだが。

(西川渉、97.7.27

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