<オシコシ航空ショー>

2009年エアベンチャー

 

 オシコシ航空ショー「エアベンチャー」はこの夏も7月27日から8月2日までの1週間、米ウィスコンシン州オシコシのウィットマン飛行場でにぎやかに開催された。

 主催は実験航空機協会(EAA)。飛行機の愛好家たちが手製の機体を持ち寄って飛ばし、自慢し合う集まりだが、近年は規模が大きくなると共にビジネス・ショーの性格を合わせ持つに至り、航空機メーカーがここで計画の発表や新製品の展示をするようにもなった。

 展示された航空機は今回2,500機に及ぶというから、通常の航空ショーとはケタ違い。中心がジェネラル・アビエーションであることに変わりはないが、今年はエアバスA380まで登場したらしい。さらにヴァージン・グループの宇宙船打ち上げ母機ホワイトナイトUも注目されたとか。

 参会者はおよそ50万人。ほとんどが航空愛好家とはいえ、これだけの人数になればビジネス・チャンスもあるはずで、軽飛行機や個人用ジェットのメーカーも、それぞれの計画や実機を発表した。

 オシコシは今や、マイクロライトからスーパージャンボまでの飛行展示会となったのである。

 

 ホンダジェットも5年間連続の出場となった。開発の現状は、来年から前量産型の試験飛行に入り、2011年中に実用化の予定という。ノースカロライナの工場では目下3機の量産型を製作中で、1号機は2010年1月に初飛行する計画である。

 原型機による最近までの飛行時間は450時間。受注数は100機を超え、これからの注文は2014年以降の引渡しになる。

 ホンダの見方では、現下のような不況の時代だからこそ、豪華な大型ビジネスジェットよりも、ホンダジェットのような経済的な小型高速機が注目されるという。

 A380が北米の航空ショーに登場するのは、これが初めて。オシコシの会場では、飛行展示ばかりでなく、機内を開放して誰でも1階および2階のキャビン内部を見て回ることができた。

 

 英ヴァージン・グループはホワイトナイトUを初公開した。宇宙船を打ち上げるための母機で、双胴の機体形状をもち、2つの胴体をつなぐ翼下面に17トンの2段ロケットと200kgの衛星を取りつけ、15,000mの高空で切り離すと、子機がロケットに添加して宇宙軌道に舞い上がる。当面は主として体験飛行に使うが、将来は宇宙飛行士の訓練や宇宙ステーションへの貨物輸送などを、地上から発射する今のスペースシャトルよりも遙かに安い費用で打ち上げることができるという。

【関連頁】

 ホンダジェットと三菱ジェット(2007.4.19)

(西川 渉、2009.8.10)

 

 

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