<燃料高騰>

提携と倒産

 アメリカン航空、英国航空、イベリア航空(スペイン)の3社が業務提携を発表した。当面は別個の企業として事業を進めるが、一方で米国政府に独占禁止法上の免除を申請しており、欧州連合(EU)当局とも下話をしているので、将来は合弁に進む可能性がある。

 こうした業務提携について、アメリカン航空は高騰する燃料費と激化する競争の中で生き抜いてゆくために必要としている。また英国航空は「戦略的協調」と呼び、飛行便数や発着時刻の調整によって、旅客にいっそう便利な旅行を提供するためという。

 この提携が認められると、3社を合わせた寄港地は106ヵ国、443ヵ所になる。けれども大西洋線ではエールフランス、KLM、デルタ、ノースウェウトのアライアンスができているので、それには及ばない。また英バージン・アトランティック航空はシンガポール航空との提携を探りつつ、上の2つの提携に反対の声をあげている。

 なお原油価格は7月なかば、1バレル150ドルに達したが、最近は下がっており、8月12日は112ドルであった。これに伴い、燃料費も同じように上がったり下がったりしている。

 ただし世界のエアラインが使っている燃料費は、かねて値上がりを見こして、4割程度が75〜85ドルにヘッジしてあった。今のところは、これが効いているが、このヘッジ燃料も今年末にはなくなるはずで、そうなった後が怖い。

 IATAによれば、今年に入って、最近までの7ヵ月間にエアライン26社が運航停止に追い込まれた。おそらく年末までには、まだ20社ほどの倒産があり得るという。

【関連頁】

   一喜一憂のエアライン(2008.8.11)

 (西川 渉、2008.8.20)

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