ホームページの作り方


『インターネット“ホームページ”の作り方』

(佐藤隆志著、ゴマブックス、1996年5月30日発行)



 本書を読んだのは昨年8月のことである。インターネットに触れるようになって2か月余り、そろそろ他人(ひと)のホームページを見ているだけではもの足りない。自分でも作ってみようかなと、それほどはっきり決心したわけではないが、何となくホームページづくりに心が動き始めたころであった。実際に本頁を開設したのはそれから3か月後のことになる。

 そんなとき本書は、私にとってはホームページに関する唯一の体系的な(?)教科書であった。その冒頭に「あなたはいま『自分のホームページをつくりたい』と思っているはずだ。……しかし目に見えない何かが、それを拒んでいるという状態なのではなかろうか」。まさしく当時、私の気持ちをぴたりと言い当てたような文言で、その数行を書店で見つけたとたん思わず財布を取り出したものである。

 第1章は、とにかくホームページ作りはやさしいということを諄々と説いて、読者を勇気づける。そしてインターネットのさまざまな世界に触れていると、やがて「それらすべてが相まって、あなたの脳ミソを強烈に刺激した結果、『ホームページ作りたい病』にかかってしまったのではないだろうか。この病気はホームページを作ることでしか治らない……」。とすれば、あとはやるしかないということであろう。

「ただ、気をつけていただきたいのはホームページ作りには常習性があることで『さらに面白いページを作りたい』と、果てしなく創意工夫を積み重ね、テクニックを学んでいくことになる。ここまでくると末期症状だ。もはや救いようがない」。当時、この文章は何気なく読み過ごしたが、いま読み返してみると、本頁開設から半年ほどたった現在、私も全くその通りの病気にかかっていることを白状せざるを得ない。

 さて、本書は具体的なホームページ作りにあたって5つの手順を掲げている。

である。

 しかし私などは、こんな立派なことは考えなかった。2〜3の短い文章と目次を置いて、文字と罫線だけの色気も何にもない頁をつくったのが最初だった。しかし、たちまち友人に絵がないのはさびしいとか、殺風景だなどといわれ、ヘリコプターの写真なんぞをを入れるようになってしまった。そうなると背景はどうしよう、題字はこうしよう、動きも必要だというように際限もなく考えるようになり、ついに本書のいうような末期症状を呈するに至ったのである。

 話を戻して、本書はタグ記号によってHTMLを書く方法を説明する。最近は、本書の出版から1年もたっていないのに、ワープロ方式でホームページができるソフトが続々登場するようになった。したがってタグ記号などは面倒と考える人も多いかもしれない。しかし、この程度のタグの原則は別に難しくもないし、実際にホームページをつくるようになると、タグをいじりたくなる場面はいくらでも出てくる。

 たとえば画面のレイアウトを考えていて、題字と本文との間を2行あけたいとか、写真の横に説明を入れたいなどというときは、単にワープロのような改行マークを入れたり、写真の配置を動かしても、実際にブラウザーで見ると、こちらの考えたのとは全く異なる画面が出てくる。そんなとき、タグの用法を知っていれば、正確なレイアウトが可能になるのである。

 こうしてできたホームページを、どのようにしてサーバーに送りこむか、どのようにして金をかけずに魅力的な頁に仕上げてゆくか、どのようにして人に見て貰えるようにするかといった課題をやさしく簡潔に教えてくれる。

 インターネットとかホームページとか、何にも知らなかった私は、この新書によってホームページ作りの基本を理解することができた。

(西川渉、97.5.3

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つづく

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