<韓・中・露>

ヘリコプターも日本包囲網

  

 韓国からは竹島、中国からは尖閣列島に攻めこまれ、ロシアに盗られた北方4島はすっかり諦めてしまうなど、日本の腰抜け外交はいったい何をしているのかと思っていたら、ヘリコプター界までがこれらの国々にしてやられつつある現状が見えてきた。

 先週の米「アビエーション・ウィーク」誌(4月17日号)によると、韓国はユーロコプターとの間でヘリコプターの共同開発を決めたという。かねてからKHP(Korean Helicopter Program)として計画されていたもので、8トン級の新しい多用途機を製造する。

 韓国側のメーカーは韓国エアロスペース社で、このお嫁さん1人に対して、欧米諸国からベル社、アグスタ社などが競い合ってプロポーズし、ユーロコプター社が選ばれた。このヘリコプターはKUHと呼ばれ、パイロット2人、射手2人のほかに武装兵員9人の搭載が可能で、7.62ミリ機銃2基を装備する。エンジンはGE T700ターボシャフトが2基。最大速度は260km/h、航続2時間。

 開発費は総額およそ13億ドル(約1,500億円)。ユーロコプター社は3割を負担し、2011年に完成する。韓国軍は、これを245機調達することにしている。


竹島

 中国もまた同じユーロコプター社との間で、ヘリコプターの共同開発に着手した。昨年12月に調印されたEC175で、総重量6.7トン。ユーロコプター社から見れば5トン級のドーファンと10トン級のスーパーピューマとの間を埋めるものというが、それならば上の韓国との計画は、このEC175とスーパーピューマとの間を埋めることになる。EC175の詳細は、すでに本頁でもお伝えしたので、それをご覧いただきたい。


尖閣諸島

 ユーロコプター社は、ロシアとの間でも共同作業をはじめようとしている。同じ先週号の「アビエーション・ウィーク」誌が伝えるところでは、ロシア国内にユーロコプター・ヴォストーク社を設立、すでにロシア国内で飛んでいるユーロコプター機の技術支援や部品補給にあたると共に、将来に向かってはミルMi-26の改良をロシアと共同研究するというもの。

 Mi-26は総重量50トン前後の超大型ヘリコプターで、世界最大を誇る。開発時期は30年ほど前だから、ここらで近代化する必要があるのだろう。

 こうして日本のヘリコプター工業界は、いつの間にか中国、韓国、ロシアに包囲されてしまった。この包囲網を如何にして突破するつもりだろうか。

(西川 渉、2006.4.26)


戦艦大和

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