<小言航兵衛>

怒れ、ヘリコプター人


 な、なんだ、こりゃ。モーツァルトの生誕祭を記念して、オーストリアはザルツブルクの広場に、ヘリコプターを逆さまに置いた芸術作品というが、こんなものが芸術だなどと、ふざけるのもいい加減にせい。

 ピカソの絵は時どき、どっちが上か分からぬものがある。しかし、それとこれと一緒にして貰っては困る。単に奇をてらって、通行人をぎょっとさせるだけじゃないか。第一、250年前に生まれたモーツァルトと、1907年に初めて飛んだポール・コルニュまでさかのぼっても100年たたないヘリコプターと、どんな関係があるというのか。

 この愚劣なことを考えたのはイタリアの芸術家らしい。とんでもない阿呆である。イタリア人ならばミラノかどこかの広場でやったらどうだ。機体もウェストランド・ウェセックスの本物らしいから、ミラノに本拠を置くアグスタ・ウェストランド社の面々に袋だたきにされ、逆さ吊りにされるだろう。

 ここには7月まで展示と書いてある。しかし、アグスタ・ウェストランド社は直ちに撤去するよう申し入れるべきだ。こんなものは芸術でもなんでもない。


当然ながら、まともに飛ぶウェセックス・ヘリコプター


同じくウェストランド社のリンクス
宙返りならば裏返しになるのは当たり前

(小言航兵衛、2006.5.26)

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