<ファントム・ワークス>

ボーイングLAMV構想

 

 ボーイング社はしばしば、未来型航空機のアイディアを出してくる、とは二た月ほど前の本頁に書いたばかりだが、今度はLAMV構想なるものを持ち出した。LAMVとはLight Aerial Multi-purpose Vehicle(小型多目的輸送機)の略で、ラムヴィーと発音するらしい。

 ボーイング社みずからは、ローターがないのにヘリコプターのような垂直離着陸ができて、ジェット機同様の高速巡航が可能であるとし、米陸軍が検討中の将来の戦闘システムの一環として使うよう提案している。

 また先週の「アビエーション・ウィーク」誌によれば、LAMVはボーイング社ファントム・ワークスで研究しているコンセプトで、兵員や弾薬を搭載、せまい戦場の中を飛び回る。現場ではパルス・エンジンを使って垂直離着陸ができる。

 ペイロードは最大1トン半だが、搭載量を半分以下にすれば1,850kmの長距離飛行も可能。巡航速度は480km/h。

 胴体は四角い箱型で、ごく小さい主翼と尾翼がついている。逆に、翼を外せば、長さ12mの箱となって、大型輸送機で容易に輸送することができる。

 胴体の上には小型で効率の良いターボファン・エンジンが2基。ほかにパルス・エジェクター補助動力がついていて、離着陸時には90秒間作動させ、これで垂直離着陸が可能となる。このようなパルス・エンジンは、これまでは燃費が大きすぎて使えなかったが、最近の技術の発達によって費用効果が高まり、実用化も可能になりつつある。また垂直飛行用の動力と巡航用の動力を、相互に無関係に切り離すことで本機の動力系統を単純なものにしている。

 当面は臨機応変の柔軟な運用ができるよう、パイロットが乗りこむが、10年後くらいには無人化することも考えられるという。

(西川 渉、2003.10.7)

 

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