<リージョナルジェット>

三菱MRJの開発続報

 昨日ここに掲載した三菱MRJの開発着手に関する記事は、4月初め計画公表の直後に月刊「航空ファン」のために書いたものである。あれから1ヵ月以上が経過して、続報ニュースが出てきた。そこで捕足の意味で断片を整理しておきたい。

 ひとつはMRJの開発に当たる新会社の体制である。三菱重工の子会社として去る4月1日、三菱航空機が資本金30億円で発足したが、4月30日に670億円の増資が発表された。この増資はトヨタ自動車などを引受先とする総額670億円の第三者割当で、5月30日に払い込みが行われる予定。

 第三者の内訳はトヨタと三菱商事が各70億円、住友商事と三井物産が各35億円、日本政策投資銀行が7億円、別の国内企業(社名非公表)が10億円。また三菱重工も442億円を追加する。これで増資後の資本金と資本準備金は合計700億円となる。

 出資比率は、三菱重工が67.5%、トヨタと三菱商事が各10%、住友商事と三井物産が各5%となる。そして事業が本格化する2009年春には、この出資比率を維持したまま1,000億円まで増資する計画。

 MRJの販売についてはボーイング社の協力も得られるもよう。三菱重工の5月8日の記者会見によると、「ボーイングの販売ノウハウと大手航空会社へのパイプが大きい」ことから、すでに同社の元営業幹部1人を採用しており、今後も人的交流を含め販売支援を求める。また各国政府への型式証明取得手続きに関してもボーイングの支援を受ける予定で「年内には契約を交わす」という。

 またMRJ販売後の顧客支援については、スウェーデンのサーブ社に依頼することで、契約交渉が進んでいる。サーブ社は1999年にリージョナル機の生産をやめたが、MRJプログラムに参加することになり新たな意欲を燃やしている。

 エンジンのギアード・ターボファンについては昨日の本頁にも書いておいたが、さらに詳しい解説が下記サイトに掲載されている。

http://www.aviationnews.jp/2007/10/mrjpwgtf_66f4.html

 このようなターボファン・エンジンは、燃料費が高騰するとともに地球温暖化が懸念される現在、いっそう重要性を増しており、MRJの競争相手となるボンバーディアも新たに開発するCシリーズ機に採用することを決めている。またエアバス社も関心をもち、2011年にも改良型A320に装備する計画。

 なお、MRJは2011年に初飛行し、2013年にMRJ90(86〜96席)が型式証明を取得、その1年後にMRJ70(70〜80席)も型式証明を取る予定。

【関連頁】

   三菱MRJいよいよ開発着手(2008.5.18)

(西川 渉、2008.5.19)

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