油圧系統の異常を発見

――嗚呼、オスプレイ(3)――

 

 去る12月11日の米海兵隊MV-22オスプレイの事故について、原因は未だ不明という文章を書いた直後に、油圧系統の異常が発見されたというニュースが飛び込んできた。ただし、異常といってもどの程度なのか、内容は分からない。油圧装置は操縦系統の操作に使われるものだが、2重、3重になっていたはずだし、その故障が直ちに事故に結びついたかどうか、今のところ確定できない。依然として原因は不明だそうである。

 しかし、これまで疑問視されていた問題のいくつか――たとえばガス欠(燃料枯渇)、燃料の汚濁、空中火災、電気系統の故障、パイロットの空間識失調などはなかったことが確認されたという。けれども、ほかにも未解明の疑問があって、原因がはっきりしたわけではない。

 事故調査委員会はオスプレイの焼けただれた残骸を海兵隊の格納庫に運び、全体構造の復元に取りかかった。フライト・レコーダーのデータと実際の機体の状況をつき合わせて、さらに綿密な調査をおこなうためである。また管制塔に残された録音テープの調査もはじまった。

 

 ところで、オスプレイはこの日、着陸復航の訓練もしていたらしい。すでに3回の復航を終わって、事故が起こったのは最後に着陸しようとしたときだった。すなわち4回目の進入時である。

 機はこのとき高度1,600フィートから降下をしながら、ニューリバーの海兵隊基地の滑走路19へ、左旋回によって最終進入に入った。そのとき緊急信号が発せられたようだが、実際に何が起こったのか、事態の内容について交信はなかった。管制塔のレーダーの記録では、高度700フィートで機影が消えたという。交信の暇(いとま)もなく墜落してしまったのである。

 このときパイロットは夜間暗視用のゴーグル(NVG)をつけていたという報道もある。しかし、それが障りになったかどうかは分からない。

(西川渉、2000.12.25)

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