失業時代に連休を増やすとは

 成人の日と体育の日が再来年から第2月曜日になるらしい。これで毎年1月と10月には必ず土、日、月という3連休ができるわけで、その法案を今国会で決議することになったというニュースが報じられた。

 何故そんなことをするのか。目的は連休を確保して景気を良くするためという。最近は景気回復のためという理由なら何でも通るらしいが、こんなことで景気がよくなるのだろうか。政治家諸公も寝呆けているのでなければ、時代錯誤も甚だしい。

 こんな発想は10年前、バブル時代のものである。あの頃は世界中から、日本人は働き過ぎといわれて、如何にして労働時間を短縮するか、休日を増やすか、レジャー施設を増やすかといった問題に腐心したものである。その結果、今や念願かなって、働きたくても働けない状態になってしまった。

 失業率は4%を越え、失業者が300万人という時代である。それでもまだ政治家諸公は国民に働くのをやめさせようというのだろうか。毎日が連休という苦しみにあえぐ人が多いというのに、さらに追い討ちをかけるのだろうか。

 本来、景気を良くするには休日を増やすのではなく、職場を増やし、勤労意欲を高め、勤労時間を増やすことこそ健全な道である。しかるに、こんな発想で国政をやっていこうというのだから、バブルの後遺症は金融面ばかりでなく、政治家の頭の中にも不良債権を残したようである。

(小言航兵衛、98.10.12)

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