<ロビンソン>

タービン機の開発へ

 先週3月1日から3日まで、フロリダ州オーランドで国際ヘリコプター協会(HAI)の年次大会が開催された。今年は所用のために出かけることができなかったが、14,000人を上回る参会者があったらしい。

 そこから、ヘリコプターに関するいくつものニュースが伝えられた。その中にロビンソン・ヘリコプター社がいよいよタービン・機の開発に乗り出したという報道があった。

 ロビンソン社は、ご承知のとおり、長年にわたって小型ピストン機を生産し、どのメーカーも及ばぬほどの機数を作りつづけてきた。機数だけでいえば、世界最大のヘリコプター・メーカーといえるかもしれない。

 今回のHAI大会で明らかにされたのは、5人乗りのタービン・ヘリコプターR66を開発中というもの。搭載エンジンはロールスロイスRR300と呼ぶ新しいターボシャフト(300shp)が1基。ロビンソンの要求により、構造が簡潔でコストの安い設計になるという。オーバホール間隔は2,000時間という設計仕様。

 RR300は旧アリソン250ターボシャフトを基本として、2005年9月ロールスロイス社とロビンソン社の合意によって開発がはじまり、試作エンジンはすでに150時間以上の試運転を終え、2月1日にロビンソン社へ引渡された。2008年に型式証明を取って、R66ヘリコプター原型機に搭載される予定。

 R66のローターは従来のロビンソン機同様の2枚ブレード。直径はR44と余り変わらないが、マストは8インチと高くなる。機体はR44よりも幅が8インチほど大きくなり、後席は左右3人掛け。操縦系統には自動安定装置がつくが、オートパイロットではない。グラスコクピットも考えていないという。

 実用化の目処は3〜5年。多数の機体が飛んでいるベル・ジェットレンジャーが引退の時期を迎えたことから、その後継を狙うというのがロビンソンの販売戦略。ただし総重量はジェットレンジャーより軽く、燃費も少ないので、航続距離はほぼ同じ。

 ロビンソン・ヘリコプター社の2006年実績は、生産数が749機で、そのうち9割近い652機が4人乗りのR44であった。残り97機が2人乗りR22である。2007年もほぼ同様の毎週平均16機の生産を予定している。

 なお、R44は2006年中に3,000号機を出荷した。R22は2005年中に4,000号機に達しているが、この調子でゆけば2〜3年のうちにR44の総生産数がR22に追いつき、追い越すものと見られる。

【関連頁】

   ロビンソン史上最高の生産記録(2006.1.31)

(西川 渉、2007.3.5)

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