<小言航兵衛>

衆愚思想を排す

 

 この数日来、新聞もテレビも石原慎太郎をののしり続けている。しかし云うも愚かながら、石原はテロを容認しているわけではない。事実として爆弾を仕掛けた事件があった。そのことを踏まえ上で何故そうなったのか、原因となった問題点を指摘しているのである。

 しかるに、その真意を取り上げようとせず、テロを容認するのはけしかんらんなどと、きいたふうな口をきくのがお利口さんぞろいの新聞とテレビである。朝日新聞かチョーニチ新聞かは知らぬが、一面から社説から社会面からあらゆる紙面をついやして石原の非を鳴らし続ける。同系のテレビ・チョーニチも一緒になって、新聞記者の成り上がりたちが怖い怖いを連発する。

 石原だって誰だって、テロを容認しているものは誰もいない。それを、あたかも容認しているが如くに言いがかりをつける新聞、テレビの連中はそれこそ集団テロみたいなものであろう。 

 爆弾が仕掛けられたのは、この連中の言論もまた原因のひとつである。この何十年来、彼らの言論は北朝鮮寄りであった。つまり、何樫キンという外務省の役人と同類にほかならない。同類だから同じ鳴き方をするのは当然である。

 その鳴き声を聞いていると、自分たちは選ばれし者で、石原の言葉に煽られた愚昧なる大衆が真似をする恐れがある、それが怖いというのである。つまり衆愚思想にほかならない。

 石原発言の翌日、東京都庁に何百件の抗議電話が殺到したとテレビが報じていた。とすれば愚かな大衆がメディアの言論に煽られたのかと思っていたが、今日になって電話の内容は石原に賛同するものが396通、反対が383通というではないか。

 なんと賛同者の方が多いのである。大衆の方がよほどしっかりと、事実と現実を見つめている。メディアの現状は、この比率がほとんど反対の方へ行ってしまい、賛成がゼロに近くなる。つまり96通対683通くらいになるのであろう。

 こんな画一的な発想をするのが今の日本のメディアであり、かつては拉致問題に口をつくんでいたメディアである。こんなものはジャーナリストでも何でもなくて、ただのメッセンジャーボーイに過ぎない。メディア連こそが衆愚であり、いまだに「バカの壁」を越えられないのである。

(小言航兵衛、2003.9.14)

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