<自衛隊ヘリコプター>

OH-1派生型を開発か

  

 中国や韓国が新しいヘリコプターの開発に着手したというのに、日本は何をしているかと書いたばかりだが、嬉しいことに日本でも開発の検討がなされていることが分かった。

 日本の新聞に、そんなニュースがあったかどうか知らぬが、先々週の英「フライト・インターナショナル」誌(2006年4月11号)によれば、陸上自衛隊は現用UH-1の将来後継機として、観測ヘリコプターOH-1の改造を検討中という。そのためOH-1に搭載しているエンジン、三菱TS1-10のパワーアップの研究に取りかかったもよう。

 陸上自衛隊は新しい多用途機を120機ほど必要としている。それをOH-1改造機でゆくか、ベル412やAW139といった外国機のライセンス生産でゆくかを2年以内に決める予定。

 改造機の場合、川崎重工の提案によると、エンジン強化のほかに新しいキャビンを取りつけ、トランスミッションやアビオニクスも新しくする。しかしエンジンの強化ができなかった場合は、AW139のライセンス生産もあり得る。

 また富士重工はOH-1改造機が採用されなかった場合、ベル412のライセンス生産を希望している。

 「フライト」誌の記事は見出しが「OH-1ヘリコプターの新派生型開発へ」となっていて期待を持たせたが、内容は上記の通りで、やや及び腰。駄目ならば外国機のライセンス生産や輸入という安全策が講じられていて、何がなんでもという覇気が感じられない。企業としての採算に重きを置きすぎるせいか、これでは中国や韓国に攻めこまれるのも当然であろう。

 筆者としては、これがうまくゆけば将来は民間むけの多用途機にもなりうるし、ローターシステムやトランスミッションが非常によくできているだけに、単なる観測機だけに終わるのは残念だ。

 なお陸上自衛隊では、現用OH-6訓練機の取り替えも予定している。新たな導入機数は15機の予定で、今年末メーカー各社からの入札がおこなわれるもよう。候補機はアグスタウェストランドA109、ベル429、ユーロコプターEC135、川崎BK117。


候補にあがっているA109(アグスタ社提供)

【関連頁】

   ヘリコプターも日本包囲網(2006.4.26)

(西川 渉、2006.4.27)

(表紙へ戻る)