航空の現代電脳篇 → ホームページ作法(19)

ホームページを良くする10か条

 

 

 インターネットは便利重宝この上ない。けれども、使い勝手が悪い。むやみに時間と金を食うので、ストレスの発生源としてもこの上なく、平安朝の桜と同様、のどかな心がかき乱されるばかりである。

 それというのも、基本的にはソフトウェアが未完成または欠陥品だからである。不完全な道具で世界中と連絡を保とうというのだから、心は逸れど手足は動かずという状態になるのはやむを得ないのかもしれない。

 それならば、せめて個々のウェブサイトの画面だけでも使い勝手の良いものにして貰いたい。むやみに複雑な仕掛けをして利用者を惑わせるのは、すでに何度も本頁に書いてきたが、まことに困ったもので、二度とアクセスしたくないと思う。

 使い勝手の悪いサイトとはどんなものか。わが敬愛するヤコブ・ニールセン先生は、それについてやってはいけないミステ−クとして平易に解説しているが、今度は一と月ほど前の「アラ−トボックス」でウェブ改善策について10か条の提案をしてくれた。

 これにも私は大いに共鳴する。ここに私なりの感想をまじえながらご紹介したい。 

1.すべての頁に作者の名前とロゴを入れ、ロゴをクリックすればトップページに戻るように関連づけておく。

――本頁でも各頁に作者の名前と日付が入れてある。資料として、いつ誰がつくったものかを明確にするためである。ロゴを入れてそこからトップページに戻るようにするのは最近やめていたが、ニールセン先生にしたがって本頁から復活させることにしよう。

2.サイトが100頁を超えたら「サーチ」(検索機能)をつける。

――実は本頁は私にとって資料やメモの収納箱である。本や印刷物はすぐ行方不明になってしまい、いざ参照しようとしてもなかなか見つからない。しかし、本頁に入れておけば探すのに手間ひまかからず、便利で確実な本棚のようなものである。ところが最近300頁を超えるようになって、自分でもどこに何を書いたかだんだん分からなくなってきた。

 これでは本来の目的が失われるので、かねてから本頁の中だけのサーチ機能が欲しいと思っていた。『ニューヨーク・タイムス』を引き合いに出すと嗤われるだろうが、過去の同紙に出た記事を検索する機能はまことに素晴らしい。ああいうものが本頁にも欲しいけれど、どうすればいいのか方法が分からない。

 おそらく、そんな機能をもたせると大変な容量を食うので、プロバイダーに拒否されるのだろうが、どなたか検索エンジンの作り方をご存知の方は教えていただきたい。

 取り敢えずは公開された検索エンジンで、キーワードを2つまたは3つほど使い、自分で自分のサイトを検索している。まず「航空の現代」という表題を入れる。それに「救急」とか「ティルトローター」などの言葉を加えて検索すれば、かなりの頁が画面に並ぶ。無論この2語を含むよその頁も出てくるが、それはやむを得ない。

 余談ながら本頁のURLは「~」という奇妙な記号が入っているので、入力がむずかしい。そこでややこしいURLを打ちこむのではなく、どこかの検索エンジンに「航空の現代」というキーワードを入れていただければ、簡単に呼び出すこともできる。

 そのうえ「ヘリコプター」とか「救急」とか「防災」などの言葉を組み合わせると、いっそう確実に探し出せる。間違って「現代の航空」と入れても駄目です。

3.各頁の見出しや題名は単純率直なものにして、その頁の内容を明確に表すような言葉を使う。

――本や雑誌が売れるか売れないかは、見出しのつけ方が巧いか下手かによるといわれる。週刊誌などは無闇に大袈裟でどぎつい見出しをつけるし、『文芸春秋』の見出しは昔から巧いという定評があった。そのため、うっかり見出しに釣られて買ってみると、中身は大したことがなくてがっかりさせられたりする。

 本頁の場合は商売ではないのだからそこまで考えることはないが、それでもすっきりした的確な見出し、利用者を落胆させないような羊頭狗肉におちいらぬ見出しを心がけなければならないと思う。

4.各頁の全体をいくつかの部分に分け、各部分には内容を表す中見出しをつける。

――中見出しは、むかし『航空情報』に書き始めた頃、400字詰め原稿用紙の3枚ごとに一つずつという程度でつけるように言われた。読者が一気に読んで一息つくのが3枚目くらいなのかもしれぬ。ただし、この分量は雑誌によって異なるだろうし、新聞などはもっと短く、頻繁につけなければならないだろう。

 概して最近は、中見出しから中見出しまでの部分が短くなっているような気がする。何もかもスピードが要求されるようになって、息が続かなくなったせいかもしれない。

 インターネットなどはその最先端をゆくものだから、中見出しも短い範囲で必要だろう。しかし本頁の場合は航空専門紙誌に書いたものが多いので、中見出しの頻度もそれに合わせたものになっている。

5.分量の多い内容は全てをひとつの頁に詰めこむのではなく、トピックスごとに分けて別々の下層頁に掲載し、ハイパーテキストの機能を生かして相互にリンクさせる。読者は先ず最初の頁で目次を見て全体の構成をつかみ、自分に関係のない頁をとばして、関心のある頁へ直接飛ぶことができる。

――政府機関の出す調査報告書などがこれに当たるかもしれない。最初の頁に目次と前文があり、本文は章や節にわけて別々の頁に掲載されているものが多い。ただし各節が短いときは頻繁に元に戻って次の節へ飛ばなければならないから手間がかかる。特に報告書全体をプリントしようなどと考えると、プリント操作を何回も繰り返さなくてはならない。保存するときも同じで、何度も保存操作を繰り返すことになる。

 各節の文章が短いものは、いくつかをまとめるべきではないかと思うし、全てを一つにまとめて、各章、各節ごとに目次から直接飛んでいけるようにリンク機能だけをつけておくことも考えられる。実際そういうサイトもあるが、どちらがよいかは一長一短があって決められない。

 第6条以下のニールセン先生の改善策は、次の通りである。余り長くなっても利用者の迷惑だから、私の感想抜きで掲載しておきたい。

 

6.ときには写真を使うことも読者の理解を助ける。しかし、余りに多くの、余りに大きな写真を使うのは迷惑である。大きな写真で細部を見せる必要のあるときは、まず小さなサムネイル写真を出しておいて、細部を見たい人にはそこから大きな写真の頁へ入って貰う。

7.小さい写真を用意するときは、単に大きな写真を縮小するのではなく、初めから小さくて、しかも全体像がつかめるような写真を使う。

8.リンクには名前をつけ、そのボタンをクリックすればどこへつながるのか、予め利用者が分かるようにしておく。

9.主要な頁は身障者でも、たとえ盲人であってもアクセスできるようにする。

10.操作要領はよそのサイトと同じようにする。利用者は、あなたのサイトよりもはるかに多くの時間をよそのサイトで過ごしている。したがって貴方のサイトを訪問したときも、当然よそのサイトと同じやり方でページ操作をするであろう。そのとき、全く別の操作方法を要求されたら戸惑うばかりでなく、厭になってさっさと逃げ出してしまうに違いない。

 本頁も、ご利用いただく皆さんに逃げ出されないよう心がけたいと思う。

 (西川渉、99.11.2)

 

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