米国の救急ヘリコプター

 米『ローター・アンド・ウィング』誌(99年7月15日号)がアメリカの主要救急ヘリコプター会社10社の近況を掲載している。

 出動回数の多い順に並べると下表の通りだが、一番下は保有機数わずかに2機で年間1,280回.。とすれば、この表はベストテンを示すわけでもないらしい。また、もとの表にはなかったが、1機平均の年間出動回数を出してみると、最高640回、最低205回で、余り多くない。これは各社の保有機数に予備機や遊休機を含んでいるためであろう。実際の契約機数は保有機数よりも少なく、したがって1機当たりの出動回数はもっと多いはずである。

 アメリカでは約350機の救急専用ヘリコプターが飛んでいるといわれる。そのうち、この表にあらわれた機数は313機である。とすれば、ヘリコプター救急事業はごく少数の大手に集中しているといえるかもしれない。また、この表だけでアメリカ全体の救急ヘリコプターのおよその状況を示しているといえるかもしれない。

米国の救急に関する主要10社の機材

会 社 名

救急機数

運 航 機 種

年間出動回数

1機平均

ロッキーマウンテン・ヘリコプター社

77

A109、ベル222、MD900、BK117、BO105、EC135、AS350、AS355

31,000回

402回

コーポレート・ジェット

50

ベル230、222、BK117、AS365N

30,000回

600回

ペトリアム・ヘリコプター社

40

ベル230、222、206LBK117、BO105、AS350、S-76

21,000回

525回

エア・メソッド

41

ベル407、206L、412、222、BK117、S-76

16,000回

390回

オムニフライト・ヘリコプター社

42

ベル230、222、206、BK117、BO105

15,000回

357回

セントルイス・ヘリコプター

17

A109、ベル206LBK117、BO105

10,000回

588回

メトロ航空

20

A109、EC135、AS350、AS355、BK117、BO105

6,000回

300回

ケアフライト

ベル407、222、206L

3,650回

521回

キーストン・ヘリコプター社

17

A109、BK117、AS365N、S-76

3,500回

205回

エアロケア

BK117

1,280回

640回

10社合計

313機

――

137,430回

439回

[注]出動回数は1998年9月1日までの1年間の実績

 

 昨年秋、エアメソッド社を訪ねた折りのレクチャーでは、本頁「米国のヘリコプター救急」でご報告した通り、米国の救急ヘリコプター数は314機という。これはほぼ上の表に合致する。

 しかしヘリコプターで救われる患者数は年間25万人程度とのことだったから、1機平均700〜800回の出動をしていることになる。それにくらべて、上の出動回数は、むろん10社だけの数字ではあるが、少なすぎるのではないか。といっても、実情はどちらが正しいのかよく分からない。

 なんだかあやふやな話になったが、天下の『ローター・アンド・ウィング』誌が堂々と掲載している表である。ここにメモ(備忘)代わりに記録しておきたい。

(西川渉、99.9.3)

「防災救急篇」目次へ戻る) (表紙へ戻る