病院ヘリポートの数

 

 インターネットでアメリカの病院ヘリポートを検索していたら1,282か所がリストアップされてきた。つまり、アメリカには少なくともこれだけの病院ヘリポートが存在するわけで、その数の多さには改めて吃驚させられる。

 

 先日の「ヘリエキスポ2000」で拾ってきた資料によると、アメリカのヘリポート数は5,063か所と書いてある。うち公共用が189か所、非公共用が4,874か所。

 公共用ヘリポートは独立したヘリポートが83か所、空港の中にあるのが106か所である。空港の中のヘリポートについては本頁「国際空港の機能とヘリコプター」に書いたように、ヘリコプターが自由に、あるいは確実に空港に乗り入れるためには、決してどうでもいい問題ではない。日本の空港はヘリコプターを邪魔もの扱いにして、なるべく入れさせまいとする。あるいは、入れても隅っこの方に降ろさせてやるという考えのところが多い。

 余談ながら、先日、空港の中にヘリポートをつくるといって航空局に怒られた人がいるという話を聞いた。どこかおかしいのは、これは全く別の飛行場をつくるということではなくて、2本目の滑走路をつくると考えれば何でもないこと。その滑走路が長さ3,000mではなくて、30mというだけのことである。みんなが思い違いをしている。

 アメリカの独立した公共用ヘリポートは、かつては全国で120か所ほどあったが、近年だんだん数が減ってきた。これがヘリコプター界の大きな悩みで、ニューヨークのマンハッタンにある4か所の公共用ヘリポートも環境運動家たちの餌食になりつつある。今のジュリアーニ市長も彼らに同調して強権を発動している。

 マンハッタンの南端にちかい第6桟橋を利用したウォール街ヘリポートは1960年に設置された。今から丁度40年前である。それが改修されて、木製の腐りかけた桟橋が鉄筋コンクリートのしっかりした構造に変わったのが1987年。同時に名前も今の「ダウンタウン・マンハッタン・ヘリポート」に変わった。

 そうしたニューヨークの公共用ヘリポートのうち、東34丁目ヘリポートは1996年に運航制限が課せられ、東60丁目ヘリポートは1998年に閉鎖となった。西30丁目ヘリポートも2001年には土地の借用起源がくるところから、この時点でニューヨーク市に取り上げられるもよう。残りはダウンタウン・マンハッタン・ヘリポートだけになる。これでニューヨーク周辺のビジネス・ヘリコプターの利用は少なくなり、市の経済活動もさびれるだろう。旅行者もニューヨークの豪壮華麗な摩天楼街を空から見るのは難しくなるかもしれない。この素晴らしい景観は一見の価値があるから、まだの人は今のうちである。料金も50ドル前後で、決して高くない。

 非公共用ヘリポートは、自家用機や社用ビジネス機のためのヘリポートである。さらには警察や消防のヘリポートも含まれる。そして、1,282か所が病院ヘリポートというわけである。

 改めて警察ヘリポートを検索すると少なくとも75か所、消防ヘリポートは33か所が出てきた。これらの数字に較べると、病院ヘリポートの多いことがさらによく分かる。なにしろヘリポートの総数に対して4分の1強を占めているのである。

 ちなみに日本では、1999年春のヘリポート数がちょうど100か所であった。そのうち公共用ヘリポートは22か所、非公共用ヘリポートは78か所である。非公共用のうち病院ヘリポートは7か所――すなわち7%にすぎない。この1年間で1〜2か所増えたかもしれぬが、やはり少ない。比率も低いが、絶対数が少ない。これでは救急ヘリコプターもなかなか飛べないであろう。

 ちなみに厚生省は病院ヘリポートの建設に対して補助金を出しているはずである。それも7,000万円だったか1億2,000万円だったか、決して半端な金額ではない。また、これは本頁のほかのところに書いたかもしれぬが、米国では臓器移植に関わる病院はヘリポートがなければその資格がないといわれる。日本も、これから臓器移植が増えるだろうから、病院ヘリポートはますます必要になる。

わが国の正規ヘリポート数

公共用ヘリポート

22か所

非公共ヘリポート

行政(県庁屋上など)

10

警察

18

消防

海上保安庁

病院

報道(新聞社、テレビ局など)

一般企業

31

合     計

100か所

(西川渉、2000.2.11)

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