<ボーイング>

737後継機

 ボーイング社は737の後継機について、エンジン換装だけにとどめることを間もなく決定するもよう。

 737後継機はエアバスA320neoに対抗して、まったく新しい機種を開発するかどうか検討が進んできたが、アメリカン航空の大量発注をきっかけとして、時間と費用のかかる新機種の開発は断念することになった。

 新機種を開発するには、早くとも2019年か2020年の就航になるとみられる。そんなに遅くては、エアライン側も待ってはいられない。その間にエアバスの方へ需要が流れてゆくと見られるところから、エンジン換装だけに踏み切ったもの。

 エンジンの最終的な仕様は未定だが、CFMインターナショナルの新しいエンジンを使えば、今の737NGよりも燃料効率が10〜12%向上するという。

 ボーイング社は今年春の時点では新機種の開発に傾いていた。この構想は787の開発から得られた技術を基本として、胴体に軽量複合材を使い、幅も現用737よりやや大きくして、乗客150〜220人乗りとする。主翼は777のそれを準用し、エンジンを新しくして、運航効率を20%増とし、2019年に就航という目標だった。

 しかし近年、787や747-8の開発に手間取り、その完成が2年も3年も遅れたことから、新機種の開発には再び同じような問題が起こるかもしれないという懸念もあった。むろん莫大な資金も必要で、リスクも大きい。

 それに対してエアバス社の方は昨年末、早々とA320neoの開発を決定した。現用A320のエンジンを換装して燃料効率を上げ、経済性を高めるという発達型で、エアラインからも好評をもって迎えられ、7月下旬パリ航空ショーの時点では1,000機を超える受注数に達した。2016年には就航できるという。

 このあたりのことがボーイング社の考え方を大きく転換させたもので、エアラインの中には新機種の開発を望む声もあったが、それらを振り切ってエンジン換装だけに転じた。

 ボーイング737は旅客機として史上最高の売れ行きを示し、最近までの受注数は約8,500機になった。その結果、今なお2,164機の受注残をかかえて、毎月31.5機の生産がつづいている。しかし、それでも間に合わず、向こう2年間のうちに月産38機にするという。

 (西川 渉、2011.8.1)

 

【関連頁】
   アメリカン航空史上最大規模の旅客機発注(2011.7.22)
   取り残される日本(2011.7.13)

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