<ボーイング>

787と737


工場を出てきた787

 6月末に初飛行予定のボーイング787は、すでに飛行準備に入った。今頃は燃料チェックなどがおこなわれているはずだ。

 すでに操縦系統や降着装置など、離陸から着陸までの状態を模した作動点検も終わり、緊急操作のシミュレーションも終了。これより先の4月下旬には、飛行中に想定される最大荷重2.5gをかけた強度試験も行われた。

 次はエンジンの試運転に進み、諸系統の作動試験をおこなう。そして高速走行により、最終的には操縦桿を引いて機首を持ち上げるなど、離陸直前までの地上試験を経て、いよいよ本物の離陸ということになる。初飛行は6月末に予定されている。


エバレット工場の滑走路わきに並んで、飛行準備中の787

 ところで、これは737の話題だが、ボーイング社では737「スカイ・インテリア」と呼ぶ内装を開発中。787の内装に準じて、客席まわりを広くし、乗客の乗り心地を快適にするもの。

 たとえば頭上の手荷物入れの容量を大きくすると共に、出し入れも容易にする。乗客の肩まわりや足もとも広くなる。また読書灯、客室乗務員のコールボタン、スピーカー、空気噴き出し口なども再設計され、壁面の吸音効果を上げて機内全体の騒音を減らす。

 この内装は2010年中には実用化の予定だが、さらに2011年には機体とエンジンを改良して、燃料消費を2%減らすとか。


737の新しい内装のうち、大きくなる手荷物入れ

 余談ながら、いつも安い末席に坐っている筆者としては、キャビンの改善はまことに有難い。ただし737のような近距離機よりも長距離機の改善に努力してもらいたい。

 特に747のような古い機体は、もはや内装を改めるようなことはないのかもしれぬが、今となってはまことに窮屈である。先日もシンガポールから東京まで、前席の男が背もたれを倒してくるので身動きもならず、長時間にわたって地獄の苦しみだった。

 といって、座席ピッチを広げるとか、新しい改良をするのも現実的ではなかろう。せめてリクライニング装置を取り外してはどうか。そのことを切望しておきたい。

(西川 渉、2009.5.7)

[関連頁]

   ボーイング787来月中に初飛行(2009.5.2)
   ボーイングとエアバス最近の受注と生産(2009.4.24)

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