<新旅客機>

787とA350XWB

 ボーイング787は8月26日、米FAAと欧州EASAの型式証明を取得した。これに伴い、全日空向け量産1号機の引渡し日程も9月25日ということになった。「これで航空機の新しい頁が開く」というのがボーイングの弁。

 この1号機は9月1日に初飛行の予定で、確認飛行をしたのち、9月27日シアトルを出発、28日東京に到着する。その後の運航計画は、まず11月1日、羽田から岡山と広島への定期運航を開始するが、それに先立って10月26〜27日、成田から香港への特別チャーター便を飛ばす。

 国際線は12月から羽田〜北京間の運航を開始、年が明けて1月からは羽田〜フランクフルト線にも投入する。

 なお、全日空は2004年4月、787を50機発注して同機の最初の顧客となった。787の総受注数は最近までに827機。

 一方、787を追撃するエアバスA350XWBは2004年末の販売開始の後も長い時間をかけて設計作業を進めてきた。途中2回の大きな設計変更をおこない、最終的な仕様が固まったのは今年、2011年である。

 A350もまた、ボーイング787同様、通路2列の長距離用旅客機で、今後50年間の使用をめざしている。その最初の20年間だけで、このクラスの旅客機は7,330機、1.77兆ドル(約150兆円)相当の需要があると予測されている。

 エアバス社の野心は、このA350XWBによって、ボーイング787と777の両機種に対抗するというもの。いわば一人で二人の敵と闘うというのだ。

 特に、今年6月のパリ航空ショーで公表されたA350XWB-1000は、ロールスロイス・トレントXWBエンジン(推力44,000kg)2基を装備して、ペイロードも航続距離もこれまでの仕様以上に大きく伸びる。基本価格は2億9,970万ドル(約250億円)。

 A350XWBの派生型は、基本となるA350XWB-800が標準270席、-900が314席。最近までの受注数は-800が140機、-900が359機、-1000が74機となっている。

 原型機による地上試験はすでに始まっており、機体の強度試験から油圧系統や操縦系統の試験に進み、2012年末にはA350XWB-800が初飛行、1年後の2013年には欧州航空当局の型式証明を取る予定という。果たして、そんなことができるのか、疑問を呈するむきも少なくない。しかしエアバス社によれば、設計段階で時間をかけたので、試験飛行が始まってから不具合が生じることはないと見ている。

 A350XWB-900も2015年に型式証明を取る計画。

(西川 渉、2011.8.30)

 

【関連頁】

   エアバスA350XWB開発計画(2006.8.28)
   エアバスA350XWB(2006.7.31)

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