<エアバス>
A350XWBが初飛行
6月14日夜、エアバス社のインターネットによる生中継画面欧州エアバス社が開発中のA350XWB旅客機は、去る6月14日午前10時から午後2時過ぎまで4時間5分にわたる初飛行をした。(日本時間:同日午後5時から9時5分)
同機は2人のテスト・パイロットを含めて6人が朱色の飛行服に身を固め、パラシュートをつけて乗り組み、数千人のエアバス社員や関係者の見守る前で、南仏ツールーズの空港から離陸した。飛行中も操縦操作などに計画通りの機能を示し、異常は全くなかったという。この間の最大高度は25,000フィート、最大速度は250ノットであった。
エアバス社によれば、飛行は完璧で、開発作業は来年後半の型式証明取得に向けて新しい段階に入った。
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初飛行した原型1号機、A350-900は、このときの離陸重量が221トン。フランス南西部の上空で、飛行性能範囲の確認がおこなわれた。今後1年間に5機で2,500時間の試験飛行をおこない、2014年後半から定期路線に就航する。
第1便はカタール航空が運航するが、そこまでの一連の開発作業が予定通りに進むかどうか。エアバス社の次の挑戦課題である。なおA350はすでに開発着手から7年が経過している。
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A350は3種類の大きさがあり、乗客は3クラスの標準座席配置で270〜350人乗り。詰めれば400人まで乗ることができる。機体は53%が複合材で、その割合はボーイング787の50%よりも多い。
またバッテリーは当初リチウム・イオン電池を使うことにしていた。この電池は軽くて、強力で、充電速度もはやいといった特徴がある。しかしボーイング787のイオン電池が発火するなどの不具合を起こしたことからA350はこの使用を取りやめた。
燃料消費は、これまでの旅客機にくらべて25%すくない。
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A350の最近までの受注数は33社から613機。競争相手はボーイング787と777。890機の受注数を誇る787から2年の遅れを取り戻して、ボーイング社の優位な現状を切り崩すことを目標にしている。
なお、A350の公表価格は2億5,400万ドル(約250億円)から3億3,200万ドル(約300億円)。対する787は2億600万ドル(約200億円)から2億4,300万ドル(約240億円)である。
エアバス社は、このクラスの長距離旅客機の需要が向こう20年間に6,000機と見ており、その半分を獲得する目標を掲げている。
(西川 渉、2013.6.16)
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