<2005年受注数>

エアバス逆転


A320(エアバス社提供)

 欧州エアバス社は、2005年中の受注数が大方の意表をついて、ボーイングよりも多い1,055機に達したと発表した。ボーイング社が先に発表した受注数は1,002機であった。これはエアバス35年の歴史上最高の記録である。これまでの最高記録は1998年の556機。これでエアバス機の受注数は5年連続でボーイング機をしのいだことになる。

 1,055機の内訳はA320ファミリーが918機、A330、A340、A350が110機、A380が20機、A300貨物機が7機であった。なおA380超巨人機は2005年4月の初飛行いらい220回、800時間の飛行をした。今年末には量産1号機がシンガポール航空へ引渡される予定。

 また両社を合わせた受注数2.057機も、旅客機の販売史上最高の記録となった。


A380(エアバス社提供)

 2005年の受注内容は、金額面ではボーイング社の方が多かったもよう。またA340と777の競争では、777が154機を受注したのに対し、A340は15機の注文にとどまった。これは燃料の高騰により、双発の777が有利になったためで、4発のA340は北極経由など長距離直行飛行が可能だが、4発の安全性よりも双発の経済性が買われたためというのがエアバス社の見方。エアバスとしては今後、A340の価格を下げて777に対抗する方策を検討している。

 新しいA350も、2005年中に前年からの累計受注数200機という目標を立てていたが、それにも届かなかった。172機にとどまったものである。

 エアバス社の2005年引渡し数は378機であった。これも2001年の最高記録325機を超えると共に、ボーイングの290機より多く、3年続きでボーイングを抜いたことになる。引渡し数の内訳はA320が289機、A330とA340の長距離用ワイドボディ機が89機。

 これでエアバス機の2005年末の受注残は2,177機となった。向こう4〜5年分の生産量に相当する。これをこなすため、エアバス社は2006年の生産計画を、単通路機については月産30機、長距離機は月産8機とする。2007年は単通路機を月産32機に増やす予定。

 なお軍用のA400M大型輸送機は2005年12機を受注した。累積受注数は9ヵ国から192機。

 ところで、エアバス機の11月末までの受注数は687機という発表であった。それが残り1ヶ月間で一挙に1,055機に増えたのは何故か。687機には、仮注文や意向表明は含まれていないが、それらを正式契約にもっていった結果である。特に中国から150機のA320を受注したのが大きかった。したがって12月は多忙をきわめたというのがエアバス社の説明。

 その一方で、1月に調印すればよかったはずの契約を無理に12月中に調印したのではないかという皮肉な見方もある。その分だけ2006年の受注数は減ることになるのだが。

 ともかくもエアバス社が最終回に逆転の大量得点を入れたことは間違いない。2005年の役(えき)は、ひとまず勝負あったということができよう。


A350(エアバス社提供)

【関連頁】

   笑うボーイング(2006.1.11) 

   1千機突破の新記録(2006.1.10) 

(西川 渉、2006.1.18)

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