<イタリア>

AWヘリコプター


AW109グランドニュー

 イタリアAWヘリコプターの開発意欲は、まことにすさまじいものがある。

 アグスタウェストランド社は長年にわたってA109軽双発ヘリコプターの生産、改良、強化をつづけてきた。そこから、やや大きなAW109グランドが生まれ、2010年には109グランドニューへ発展した。

 その一方で近年、AW139の成功によって、AWヘリコプターは大きく変貌しはじめた。この中型機は2011年末までに450機が活動するに至り、今後なお150機の受注残をかかえている。

 さらにアグスタウェストランド社は目下、AW139とグランドの中間にあたる4.5トン級のAW169を開発中。AW169は警察、消防、救急、および社用ビジネス機としての用途を想定している。

 もうひとつ、8トン級のAW189の開発にもあたっている。AW189は2011年に初飛行、主に石油開発市場を目標とするもので、石油開発には、すでに多数のAW139が飛んでいるが、AW189の実現は、この分野の同社の立場をいっそう強固なものとするであろう。まもなく原型2号機も飛び始める。

 AW139、AW169、AW189は相互の共通性を高めるために、同じような技術を採用し、特にコクピットの設計に同じアビオニクスを採用している。この共通性により、現在AW139を操縦しているパイロットは、ごく短時間の訓練でAW169やAW189に乗り移り、操縦をすることができる。

 型式証明の取得はAW189が2013年で、引渡し開始は2014年の予定。AW169は2014年に型式証明、2015年に実用化の予定である。この1月末までの受注数はAW169が19機、AW189が10機となっている。


AW169

 アグスタウェストランド社が、もうひとつ意欲を燃やしているのがAW609ティルトローター機である。昨年ベル社から開発と製造権の一切を買い取り、2016年初めの型式証明取得をめざしている。

         

AW109SP
グランドニュー

AW139

AW169

AW189

AW609

初飛行

1971.8.4

2001.2.3

2011.12.22

2003.3.7

乗員

1〜2

1〜2

1〜2

2

2

乗客

6〜7

15

8〜10

16〜17

9

ローター直径(m)

10.8

13.8

7.9

全長(m)

12.9

16.6

14

自重(kg)

1,645

3,620

5,125

総重量(kg)

3,175

6,400

約4,500

約8,000

7,620

エンジン

PW207C×2

PT6C-67C×2

PW210×2

CT7-2E×2

PT6A-67A×2

最大速度(q/h)

330

350

585

ホバリング高度限界(m)

4,500

3,780

1,500

航続距離(km)

880

800

1,295

 

 なお、アグスタウェストランド社は2011年中に132機の民間ヘリコプターを出荷した。

(西川 渉、2012.2.27)

 【関連頁】

    AW189双発タービン・ヘリコプターの開発構想(2011.6.25)

    AW609開発促進へ(2011.12.27)

 


AW189初飛行

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