コマンチ計画中止

―― 無人機、有人機を撃墜 ――

 米陸軍が開発してきたコマンチ・ヘリコプターが突如、キャンセルになった。このニュースを知ったのは、うかつにも26日午後だが、発表されたのはアメリカの23日、日本の24日だったらしい。詳しい理由はよく分からないが、完成の時期が遅れに遅れていたところを見ると、予算の緊縮ばかりでなく、技術的な問題もあったのだろう。

 その上この数年来、無人機の評価が一挙に高まって、コマンチが担うはずの役割――特に斥候、偵察、監視などは最新の技術を採り入れた無人機でも可能であり、攻撃能力の方は既存のアパッチを改良すればいいではないかといった議論がなされていた。最近は無人機もロケット弾かミサイルを積んで、攻撃能力をもつようになった。

 とすれば、コマンチの計画中止は無人機が有人機を撃墜したようなものである。有人機ファンとしては甚だ残念だが、時代の進歩にはさからえない。コマンチのコンセプトは、その開発着手から20年も経った今、もはや時代遅れになってしまったのである。そんな遅ればせの開発に莫大な費用を投じることはできないといったところであろうか。この計画にはすでに、日本円にして1兆円に近い80億ドルの開発費がかかっているのである。

 それにしても、シコルスキーやボーイングなど関係メーカーへの衝撃ははかり知れないものがあろう。ひいてはヘリコプター界全体へも影響が及ぶにちがいない。

 現政権への恨み節も聞こえてくるような気がするが、一方では拍手をしている納税者も少なくないであろう。

 私もとまどいながら英米の紙誌を読みかけたが、ちょっと時間が足りない。詳しいことは2〜3日かけて整理することにしたい。

(西川 渉、2004.2.27)

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