<米大統領機>

エアフォースワンも交替

 アメリカ大統領の交替に伴い――か、どうかは知らぬが、米空軍は大統領専用機エアフォースワンの取替えについて検討をはじめた。

 念のために、大統領が交替したあとで検討するというのは、何もブッシュに使わせたくなかったからではないし、オバマ新大統領も使うことはできない。入手時期は8年後の2017年を想定しているので、オバマ氏が4年後に再選されても、2期8年の間に使用することはない。

 ヘリコプターの場合もそうだったが、機種を選定する大統領が自分で使うことはないというのが米大統領機の決定要件で、公正を期するためかと思われる。

 この飛行機は大統領が世界中を飛びまわるのに使うもので、「空飛ぶホワイトハウス」とも呼ばれる。候補機は、既存の民間旅客機。今のところボーイング747-8、787、エアバスA380の3機種が対象というから、ここでもまたボーイングとエアバスとの間で激しい競争が始まることは必至となる。

 エアバス社はすでに、社内にエアフォース・ワンの特別担当者を置いて、新たな闘いに臨む構えを見せている。もとよりボーイング社も、外国勢に取られては名折れとばかりに、社内最優先のプロジェクトと位置づけている。

 特にボーイング社は1962年に707を基本とするVC-137が採用されて以来、50年にわたって大統領機を提供してきた。したがって大統領機が、如何なるものでなければならないかについては熟知していると胸を張る。

 けれども大統領機を外国勢に取られた例は、ロッキード・マーチン社と組んだアグスタウェストランドEH101ヘリコプターの例があるので油断はできない。


現用エアフォースワン

 新大統領機は現用エアフォース・ワンVCー25Aに代わるもので、米空軍は1月8日提案要求を発し、希望メーカーは1月28日までに提案を出すよう求めている。

 今のVC-25Aは、ボーイング747-200を基本とする改造機で、30年間の使用を想定して1990年に引渡された。したがって現在その3分の2を経過したことになるが、最近は民間で使われている747-200が少なくなって、整備費などのかかりが高くなってきた。

 新大統領機の調達予定は3機。2017年、19年、21年の引渡しを求める。

【関連頁】

   <小言航兵衛>ばいばいブッシュ(2009.1.20)
   米大統領ヘリコプターも交替(2009.1.13)

(西川 渉、2009.1.21)

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