<ユーロコプター>

開発進むEC175ヘリコプター

 ユーロコプター社は目下、中国と共同でEC175ヘリコプターの開発を進めている。現用EC155とEC225との中間にあたる大きさで、18人乗り。

 この開発計画が明らかにされたのは2005年12月で、このとき中国との間で契約が成立した。中国はEC175をZ15と呼んでおり、2006年初めから技術者を南仏マリニアンヌ工場に派遣して設計が始まった。

 総重量は6,700kg。260〜270km/hの高速で、航続370km。エンジンはプラット・アンド・ホイットニーPT6C-67Eが2基。主ローターはユーロコプター独自のスフェリフレックス・ヘッドの5枚ブレード。尾部ローターは3枚ブレード。アビオニクスはEC225の技術を基本とする最新のものになる。詳細は今年6月のパリ航空ショーで公表されるもよう。

 フランスと中国との開発分担は五分五分で、中国側は機体、主ローター、尾部トランスミッション、操縦系統、燃料系統を担当し、ユーロコプターは主ギアボックス、尾部ローター、アビオニクス、油圧系統、電気系統を担当する。また最終的な統合調整と飛行試験も行なう。

 今後の開発日程は2009年に初飛行、2011年に型式証明を取る予定。 製造はマリニアンヌと中国ハルビンに最終組立て工場を置き、年間35機をつくる計画。向こう20年間で800機の生産をもくろんでいる。目標とする競争相手は人気の高いアグスタウェストランドAW139だが、同機はすでに200機以上の注文を受けている。なおAW139も同じPT6C-67エンジンを装備している。

 なお中国のハルビン工場では現在すでにEC120の生産がおこなわれている。中国側の分担率は24%。


EC175の完成予想図。

 ユーロコプター社は軽双発タービン・ヘリコプターAS355の改良型について、去る2月15日型式証明を取得した。同機はAS355NPと呼ばれ、ターボメカ・アリウス1A1エンジン2基を装備、主ギアボックスを強化して、緊急時の飛行能力を高めている。

 量産機は今年5〜6月頃から引渡しがはじまる。市場目標は経済的な社用ビジネス機で、市街地のビル屋上でカテゴリーAの離着陸が可能。また一般的な多用途機としても有能で、機外吊下げ時の総重量は今の2,600kgから2,800kgへ増加した。これで資材の吊上げ能力は2割増となる。

 なおAS355NPの前身となるAS350/AS355エキュレイユ/アスター/ツインスターは、これまで4,000機近く製造された。

 ユーロコプター社は昨2006年、381機のヘリコプターを引渡し、615機の注文を獲得した。この受注数は2005年を上回る。

 特に昨年はEC145が米陸軍の軽多用途ヘリコプターLUHに選定され、UH-72Aラコタの呼称で322機の採用が決まった。旧UH-1やOH-58に代わって全機が2015年までに州兵に配備され、本土安全保障任務につく。1号機は昨年12月11日、ミシシッピ州コロンバス工場で完成、米陸軍へ引渡された。

 LUHに先だって、ユーロコプター社は2004年、米政府から本土安全保障省向け55機のEC120と国境警備のための4機AS350Bを受注している。


米陸軍のUH145

【関連頁】

   米陸軍LUHにUH-145を選定(2006.7.4)

   国家の正体(2005.12.19)

(西川 渉、2007.3.8)

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