増加する共有ビジネス機

 

 先日カナダのボンバーディア・エアロスペース社からロバート・ブラウン社長の講演録が送られてきた。11月18日、ニューヨークのウィングス・クラブでの講演だそうである。

 その全てをご紹介する余裕はないが、ひとつだけビジネス航空機のフラクショナル・オーナーシップについて触れたところがあった。それによると

「フラクショナル・オーナーシップはビジネス航空界の性格と構造を急速に変えつつある。1997年中に引渡されたビジネス機のうち、フラクショナル・オーナーシップ機は13%だったが、2000年までには17%に増加するであろう。そして近い将来、その割合は3分の1に達するに違いない」

 いま欧米で爆発的な人気を博しているビジネス機の共有共用方式については、本頁でも何度かご報告してきた。特にフラクショナル方式を生み出したエグゼクティブ・ジェット社とその大株主となったウォーレン・バフェットが10月のビジネス航空ショーで見せた発注ぶりは、3日間で100機を超え、熱にでも浮かされたようなすさまじさであった。

 この好景気がいつまで続くのかと思っていたところ、上のボンバーディア社によれば、当分は終わりそうもないし、しかも拡大するらしい。果たしてうまくゆくかどうか、成り行きが注目されるところだが、その熱気と活気をよそに日本だけは不景気のせいもあり、またビジネス機に対する偏見もあって、ひとりビジネス航空の世界から取り残されてしまった。

 かくて1998年も、寂しく暮れてゆこうとしている。

 (西川渉、98.12.30)

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