<小言航兵衛>

亡国の徒輩

 

 11月18日の日韓首脳会談は、両国の「溝拡大」という結果になったようだが、まことに喜ばしいことである。先日の本頁でも論じたように、国のために尽くし、それに殉じた兵士の御霊に首相が参拝して何が悪いのか。つまらぬ言いがかりをつけてくる中朝韓枢軸なんぞは相手にする必要がない。溝の拡大も結構である。

 そう思っていると、テレビのニュース・ショーにでてくるガヤガヤ共は、ほとんど全員が溝の拡大を嘆き、日本の孤立を心配するようなジェスチャーをして見せる。まことに呆れるばかりだ。あれらは韓国人か北朝鮮人が国籍を偽ってテレビに出ているのではないのか、とうてい日本人とは思えぬほどで、亡国の徒輩とでもいっておこう。

 こんな徒輩が跋扈する淵源を歴史的に説いたのが『子々孫々に語りつぎたい日本の歴史』(中條高徳・渡部昇一、致知出版社、平成17年8月15日刊)だが、この中では次のような連中が反日運動を繰り返す国賊的政治家やマスコミとして指摘されている。

加藤紘一――「日本はサンフランシスコ条約で東京裁判を受諾したのだから、それに縛られるべきだ」などという誤解と理屈を語っている。つい数日前のテレビでも同じようなことをしゃべって、同席者にたしなめられていた。条約で受諾したのは「裁判」ではなくて「判決」(複数)である。しかも、その判決は日本の申し出により、1または2以上の国が同意すれば赦免できると条約に書いてある。そこで日本政府は講和条約発効後すぐに申し立て、11ヵ国の同意を得て戦犯の名誉を回復すると共に、受難者として靖国神社に合祀することになった。したがって、このおまつりは国際的な合意に基づくもので、今や戦犯は日本にはいないのである。

外務省――韓国に半ば実効支配されている竹島について、日本の意思表示をはっきり言わない。外務省は「やっています」というが、後ずさりしながら言っているようなもので、その腰抜けと腑抜けの態度はなめになめられている。

旧郵政省――竹島問題について国際世論を喚起するために切手をつくったけれど、実際に発行する決断ができなかった。ちょっとでも摩擦を起こしたくないという小心翼々とした臆病ぶりではないか。

宮沢喜一――1982年教科書検定に関して中国の抗議を受け、官房長官としてあわてて談話を出し、検定基準を改めて「近隣諸国に配慮する」旨の約束をした。中国の抗議が誤報に基づくものであったにもかかわらず、未だに取り消そうとせず、日本の歴史教科書の検定権を北京とソウルに預けてしまった。

河野洋平――無知である。1996年、官房長官の当時「従軍慰安婦は強制である」旨の談話を出して、本来ありえない問題の根拠をつくった。

土井たか子――拉致問題について「こんなことを言っていたら国益を害する」として北朝鮮を弁護しながら、拉致家族の話を聞こうとしなかった。今になって「私たちにウソの情報を教えた北朝鮮労働党が悪いんです」と人のせいにしている。

三木武夫――総理になって朝日新聞の論説委員だった永井道雄を文部大臣に起用、朝日寄りの姿勢をとって教育を悪くした。

朝日新聞――すべての元凶。靖国問題、慰安婦問題、教科書問題のいずれも朝日が発信し、韓国や中国が共鳴するという構造をつくった。向こうが共鳴すると、それをまた朝日が何倍にも共鳴させるから、双方が共鳴し合ってだんだん大音響になってゆき、最後は枢軸国が日本から金を引き出すための手段となった。日本は子どもの教育が駄目になり、人心が荒廃し、金までむしり取られているのだ。

 ところで、この本にはNHKは出てこないが、あの放送局はなぜ中朝韓枢軸の日本に対する悪口雑言を長々と放送するのか。国連での北朝鮮の反日演説を茶の間で詳しく聞かされては夕食もまずくなる。

 それだけならまだしも、日本からの反論はいっこうに取り上げようとしない。枢軸国の日本凶悪論を子どものときから連日叩き込まれては、よほど意思の強い人間でないかぎり洗脳されてくるであろう。その結果が、上に出てきたような政治家やマスコミを産み出したのである。

 おとといもロシアの大統領がやってきたが、「まずは経済交流」などと向こうのペースにのせられ、日本は言いたいこともいえなかった。ロシアが強いのは北方4島を人質に取っているからだが、韓国には竹島を人質に取られ、中国には尖閣列島を取られ、北朝鮮には生身の人質を取られて、日本は身動きできないまま身代金を払い続ける状態に置かれている。

 経済交流だの開発援助(ODA)だの人道支援だの国際協力だのという前に、政府はまず人質を取り返すことに全力をつくすべきである。そのために話し合いや交渉でラチがあかなければ経済制裁に進むのは当然で、その前に経済交流などと言ってしまってはこちらの切り札がなくなるではないか。

 それでも交渉が進まなければ本格的な臨戦態勢をととのえるべきである。そうすると中朝韓枢軸が何か言ってくるだろうから、日本の軍備はハイエナのように餌を横取りにくるお前たちを追っ払うためであって、好んで戦争をしたいがためではないことを明確に宣言すればいいのである。

 重ねていうが、ハイエナどもにこちらから進んで接近する必要はない。

(小言航兵衛、2005.11.23)

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