<捜索救難ヘリコプター>

CSAR-Xの入札やり直し

 米空軍は5月14日、昨年秋に決定した戦闘救難ヘリコプターCSAR-Xの入札をやり直すと発表した。

 CSAR-Xは2006年11月9日、ボーイングHH-47チヌークが選定された。これに対し、入札競争に敗れたシコルスキー社とロッキード・マーチン社が、判定基準が仕様書に一致しないとして異議を申し立て、米議会の調査機関GAO(Government Accountability Office:政府説明責任局)が調査をおこなった結果、2月末再入札の勧告を出していた。GAOの勧告に強制力はないが、空軍として再入札を決断したもの。

 再入札のための改定仕様書は6月初めに出る予定で、応札メーカーは今年夏の終わりまでに提案書を出すことになるもよう。

 仕様書の内容は、まだ明らかではないが、提案機の信頼性と整備性にもとづき機体運用のための人力効率を計算するなどして、経済性を判定することになる。最終的な決定は今年秋になる予定。

 なお新しいCSAR-Xは現用HH-60Gの後継機として、140機余の機体が総額100〜150億ドル(1.2〜1.8兆円)で調達されることになるもよう。これだけ大きな国防契約が再入札になるのは初めてである。

 米の軍用ヘリコプターについては、去る5月9日にも武装偵察ヘリコプターARHについて、議会が開発中止の決議をしたばかり。混乱か混迷の渦が巻き始めたのではないだろうか。

 蛇足をつけ加えると、日本の政府や自治体の入札制度にこうした異議申立ての制度はないのだろうか。官製談合などではじき出された企業が異議申立てをしてもよさそうなものだが、制度がないのか意気地(いくじ)がないのか、それとも長いものには巻かれている方が楽なのか。

【関連頁】

   米空軍の次期捜索救難機チヌーク(2006.12.26)

(西川 渉、2007.5.18)

 

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