消防におけるヘリコフターの活用と
その整備のあり方に関する答申

(平成元年3月20日消防庁長官あて消防審議会会長)

  

 昭和63年2月22日付け諮問のあった「消防におけるヘリコプターの活用とその整備のあり方」について、以下のとおり答申する。

 

 

消防におけるヘリコプターの活用とその整備のあり方に関する答申

 本審議会は、消防庁長官の諮問に応じ、消防におけるヘリコプターの活用とその整備のあり方についで慎重に検討し、審議を重ねてきた結果、我が国の消防が将来にわたりその任務を十分に果たし、国民の信頼と期待に応えていくためには、以下の基本方針に基づき、消防ヘリコプターの整備を積極的に推進し、これを活用した消防活動を全国的に展開していくことが今後の重要な課題であるという結論に達したので、ここにこれを答申する。

 よって、消防庁においては、この基本方針に基づき、消防ヘリコプターの整備推進とその円滑な運用体制の確立に資する施策を早急に講じ、答申の具体的かつ計画的な実現に努められるよう要望する。

 

消防におけるヘリコプターの活用と

その整備のあり方に関する基本方針

第1 消防ヘリコプターの必要性

  ヘリコプターは、高速で飛行できることに加え、空中停止(ホバリング)や小さな旋回、垂直離着陸が可能であるなど機動性の面で優れた特性を有しているため、消防分野においても、近年、積極的にその活用が図られ、東京、川崎、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸及び福岡の八大都市消防本部が保有する17機の消防ヘリコプター(消防活動に活用するヘリコプターをいう。以下同じ。)によって、林野火災に対する空中消火、災害時の情報収集、遭難者の救助、離島、山村等からの救急患者の撒送など各種の消防活動に極めて大きな効果を発揮している。

 しかし、これらの消防ヘリコプターでは、全国の一部の地域しか有効にカバーされないため、消防活動へのヘリコプターの利用は、その多くを自衛隊等他機関からの応援に依存している実状にある。

 社会経済の発展は、国民生活に多大の利便をもたらしたが、反面、都市化の進展や都市構造の変化、高速交通機関の発達等の中で、災害の態様は、年々複雑多様化する傾向にあり、大地震、高層ビル火災、航空機の遭難等ひとたび災害が発生すると、その被害が甚大となる潜在的危険性も増大してきている。

 また諸外国の例にみられるように、ヘリコプターを活用して病院収容までの時間を飛躍的に短縮し、救命率を高める救急業務の実現等、より質の高いサービスを求める国民のニーズも高まってきている。

 このような現状にかんがみるとき、消防の任務を的確に遂行し、国民の信頼と期待に応えていくためには、上空からの消火や人命の救助、災害状況の把握、ヘリコプターによる救急患者の撒送など、ヘリコプターを活用した消防活動の展開がこれまで以上に要請されるものと考えられる。したがって、消防ヘリコプターは、今日では、一部の大都市だけでなく、一般の市町村においてもその活用を図るべき近代的装備となってきており、消防ヘリコプターの整備を全国的に推進し、ヘリコプターを活用した消火、人命の救助、救急業務等いわゆる航空消防を積極的に展開していくことが、これからの消防にとって重要な課題であるといわなければならない。

 

第2 消防ヘリコプターの活用分野

 社会生活環境のめざましい変化の中で、我が国の消防が、その活動の迅速性、機動性を高め、災害被害の軽減や救急患者の救命率の向上など消防の任務を将来にわたり十分に果していくためには、ヘリコプターを各種の消防活動に幅広く活用していく必要がある。したがって、消防ヘリコプターの活用分野については、特定の消防活動に限定することなく、消火(林野火災における消火、延焼防止等)、人命の救助(高層建築物、水害被災地等における人命の救助)、災害時の情報収集、応急対策用資機材・救援物資の緊急輸送、災害予防(地形、市街地の状況その他消防活動に必要な事項の調査活動等)、救急業務(離島、山村、へき地等からの救急患者の搬送)等ヘリコプターの有効性が期待できる消防活動をすべて対象として、その活用を推進することが適当である。このため、消防ヘリコプターの導入に当たり、特に複数機の整備が困難な場合においては、これらの活動に必要な装備・器具等をその目的に応じて容易に搭載し、又は取り付け(取り替え)することができる構造に配慮するとともに、必要な装備・器具等の整備を図り、ヘリコプターの効果が十分発揮できるよう努める必要がある。

 なお、救急業務に消防ヘリコプターを活用する場合においては、救急自動車によって十分対応できる救急事案まで対象とすることは適当でなく、基本的には、ヘリコプター以外の擬送手段によっては著しく時間を要し、救急患者の治療上重大な支障をもたらすと医師又は救急隊が認める事案を対象として運用すべきである。

 

 

第3 消防ヘリコプターの広域的運用

 ヘリコプターを活用した消防活動の新たな展開を図るためには、消防ヘリコプターの整備を全国的に准進する必要があるが、ヘリコプターの整備及び維持管理には多額の経費を要し、大都市以外の一般の市町村が単独で整備を図ることは、かなりの困難を伴うものと考えられる。

 また、一市町村の区域内の活用だけでは利用効率が悪く、不経済になるおそれがある。一方、ヘリコプターは、地上条件に左右されず、高速で飛行することができるため、短時間のうちに一市町村の区域を超え、広域的な地域を範囲として活動できる性能を有している。

 これらのことから、単独で消防ヘリコプターの整備運用を図っている大都市以外の地域において、消防ヘリコプターの整備を進めるに当っては、相当数の市町村にわたる地域を対象として広域的な運用を図る仕組みをとることを基本とすべきである。

 また、大都市等が単独で整備運用する場合にあっても、地域の中核として、これまで以上に消防ヘリコプターの広域的な活用に努め、必要に応じ広域的な運用体制の整備について検討することが望まれる。

 

第4 消防ヘリコプターの配置目標

 消防ヘリコプターの全国的な配置のあり方については、その広域的な運用を前提として、各種の消防活動を迅速かつ的確に実施し得るヘリコプターの有効活動範囲を基本として考えるべきである。

 この場合、有効活動範囲は、各活動ごとに異なるものと考えられるが、日常的な発生瀕度、緊急性の度合から、救急業務にヘリコプターを活用する場合の有効活動範囲をもって画することが適当である。

 救急業務にヘリコプターを活用する場合の有効活動範囲については、救急自動車による搬送人員の80%以上が30分以内に医療機関に収容されていること、西ドイツ、スイス等救急ヘリコプター先進諸国の例(出動要請から12〜15分以内に救急患者に対して救急処置を開始することを目標として、全国土をカバーする体制となっている)、ヘリコプターの巡航速度(200〜250km/h)等を勘案して、半径50〜70km(ヘリコプター基地から救急現場におおむね15分前後で到達可能な距離)とするのが適当である。

 この半径による活動範囲は、おおむね各都道府県の区域と一致するため、消防ヘリコプターは、各都道府県の区域に少なくとも1機以上配置されることを基本とし、21世紀初頭には、我が国全土にわたってこのような配置が整い、各地域において消防活動に積極的に活用される体制が確立されることを目標とすべきである。このため、今後、約十年の間に、現有機数に加え、新たに40〜50機の消防ヘリコプターを計画的に整備していく必要がある。整備に当たっては、現有消防ヘリコプターの広域的な運用に努めても、効果的にカバーできないブロック圏域に属する都道府県の区域から優先的に配置されるよう配慮すべきである。

 なお、ヘリコプターは、耐空検査等により運航に供することができない日がかなりの日数に上るため、複数機の効率的な運航により飛行不能な事態が生じることを避ける必要がある。しかし、当初から代替ヘリコプターも併せ複数機を整備していくことは現実的に困難であると考えるので、当面、消防相互の応援制度の効果的な運用等により対応していくことが必要である。

 

 

第5 広域航空消防体制の整備

 大都市を擁する都道府県の区域には、おおむね、大都市消防本部の消防ヘリコプターが配置されており、各都道府県の区域に1機以上という消防ヘリコプターの配置目標が既に達成され、各種の消防活動に広域的に活用されている。しかし、それ以外の都道府県の区域においては、消防ヘリコプターを単独で整備運用できる中核的な都市がないこともあり、消防活動におけるヘリコプターの活用実績からみてその必要性が高いにもかかわらず、整備を図ろうとする動きがほとんど見られない状況にある。

 したがって、このような地域に消防ヘリコプターが積極的に配置されるためには、今後、各都道府県の区域ごとに、消防ヘリコプターの整備を推進し、併せてこれを広域的かつ機動的に運用し得る広域航空消防体制を地域の実状に適した形で整備していく必要がある。

 広域航空消防体制を整備する方式については、現在、地域の中核都市消防本部が単独で消防ヘリコプターを整備し、他市町村と消防応援協定を結ぶ方式や運用経費を地域の各市町村が分担する方式がとられ、その広域的な活用が図られているが、今後、全国的に広域航空消防体制の整備を積極的に進めていくためには、これらの方式に加え、次に述べるように、さらにこれを強化した方式、また新しい視点に立った方式を導入する必要があると考える。

 

1 市町村の共同による整備運用方式

 広域航空消防体制を整備するための一方式として、市町村が協議会やこれに準じる組織を設置し、共同して消防ヘリコプターを整備し、運用を図る方法がある。

 このような市町村の共同方式は、市町村消防の原則にも沿い、また地上の消防との連携協力も、消防活動に精通した市町村の消防職員によって行われることになるので、現場における消防活動の一体性を確保するうえからも望ましい方式であると考える。

 したがって、市町村は、各地域において相互に連携協力し、このような共同方式による広域航空消防体制の整備に積極的に取り組むべきである。また、国においても、その円滑な整備が図られるよう、必要な支援、指導を行うとともに、都道府県においても、市町村相互の連絡調整を図り、さらに、財政援助その他適切な措置を講じるよう努めることが望まれる。

 

2 都道府県による整備運用方式

 市町村の共同による整備運用方式が積極的に堆進されるとしても、地域によっては、市町村の共同方式を進めるうえで中核的な役割を果たす都市がなく、共同方式によることが困難な場合が予想される。

 我が国の消防は、市町村消防の原則に立って運営されているが、消防学校の設置や、特定の区域における救急業務の実施等については、都道府県が行うこととされていることからも分かるとおり、市町村のみで処理することが不経済で、かつ、困難な消防事務について、都道府県に市町村の消防を応援する役割を期待することは、我が国の消防体制の充実強化を図るうえで必要なことであると考える。

 ヘリコプターを活用した消防活動については、ヘリコプターの整備運用に多額の経費を要し、一般の市町村の財政力をもっては対応することが困難であること、また、ヘリコプターは広域的な活動能力を有し、相当数の市町村にわたって活用することが効率的であること等から、まさに広域的役割を担う地方公共団体である都道府県に市町村の消防を応援する役割を期待することができる責務であると考える。

 現在、一部の都道府県においては、災害に関する情報収集、災害時における救助その他の応急措置等の防災業務を実施するため防災ヘリコプターを保有しているが、県によっては、新たにヘリコプターを整備し、このような従来からの防災業務に加えて、市町村の消防活動を応援する意向を有するところもでてきている。

 したがって、都道府県においても、単独又は市町村と共同し消防ヘリコプターの整備運用を図り、市町村から要請があった場合には、これを活用して、市町村が行う消火、人命の救助、救急業務等を応援する消防

活動を行うことができることを制度的に位置付けることが地域の実状にも沿い、消防活動へのヘリコプターの活用を全国的に展開するうえで有効であると考える。

 もとより、その場合においても、市町村消防の原則から、都道府県の任務の範囲を明確にするとともに、次の諸点にも留意することが必要である。

 

(1)都道府県が行う消防活動は、市町村の応援要請に基づいて実施されるものであること。

(2)消防活動における指揮統一の観点から、応援出動した都道府県の職員は、応援を受けた市町村の消防の指揮下に行動するものであること。

(3)消防活動に従事する都道府県職員に対する公務災害補償等の処遇については、市町村の消防職員との均衡にも配慮して、業務の適切な実施を確保する観点から所要の措置を講じること。

(4)都道府県の消防ヘリコプターの運航管理の組織体制については、市町村の消防活動との一体性を阻害しないよう配慮すること。よって、国においては、上記留意事項に配慮しつつ、市町村から要請があった場合には、都道府県がヘリコプターを活用して市町村の消防を応援する消防活動を行うことができるょう、所要の法改正を検討することが必要である。

 

3 地域の実状に応じた整備運用方式の選択

 今後、広域航空消防体制の整備を進めていく方式として、上記のような種々の方式が考えられ、それらの中では市町村の共同方式が望ましいと考えられるが、地域の実状は種々異なるので、各地域においては、その実状に適した方式を選択し、広域航空消防体制の整備に積極的に取り組むべきである。

 また、国において、広域航空消防体制の全国的な整備を図っていくに当たっては、各地域がその実状に応じて最も適した方式が選択でさるよう十分配慮する必要がある。

 

第6 消防ヘリコプターに係る財源措置

 消防ヘリコプターの整備及び維持管理に要する経費は、これを活用して得られる効用からみれば決して高すぎるとは考えられないが、かなりの負担となるものである。したがって、消防ヘリコプターの整備及び維持管理に対して、国としても積極的な財源措置を講じていく必要がある。

 消防ヘリコプターの整備については、現在、国庫補助や地方債の制度があり、その充実が図られてきているが、今後ともその充実強化に努め、必要な場合には新たな財源措置のあり方についても検討すべきである。

 消防ヘリコプターの修繕費、操縦士・整備士の人件費等維持管理経費については、現在、何らの財源措置もなされておらず消防ヘリコプターの整備を進めるうえで、一つの支障となっていると考えられるので、今後、各地域がいかなる整備運用方式を選択するか、その状況も踏まえながら、既存の消防ヘリコプターも含め国において所要の財源措置を講じることが必要である。

 なお、現在、大都市の消防ヘリコプターが、消防庁長官の要請を安けて他の都道府県の災害に応援出動した場合には、宝くじ収益金を活用した応援交付金が交付され消防ヘリコプターの広域的な運用の促進に少なからず寄与しているが、消防ヘリコプターの整備に際しても、このような財源の活用を含めて所要の財源措置について検討することが期待される。

 

第7 消防ヘリコプターの有効活用に必要な諸条件の整備

 消防ヘリコプターの活用を積極的に堆進し、消防活動の迅速性、機動性を高めていくためには、広域航空消防体制の確立とあいまって、消防ヘリコプターを有効に活用するため必要な諸条件の整備を図っていくことが重要である。

 

1 離着陸場の整備

 消防ヘリコプターは、災害、事故の発生等緊急事態においては、ヘリポート等飛行場以外の場所においても離着陸できることが法的に認められているが、現実には適地が少なく、また障害物があるなどヘリコプターの進入が困難で、その能力を十分に活かすことができない場合が多い。したがって、ヘリポート等ヘリコプターの離着陸に必要な施設・場所を整備し、その増加を図っていくことが極めて重要である。

 特に、近年、大都市等においては、高層建築物の増加が著しいが、ロサンゼルスの高層ビル火災の例が示すように、高層建築物の火私にあっては、屋上からの消防隊の進入や逃げ遅れた者の救助が極めて有効である。しかし、現在、これらの建築物の屋上は、一般的にヘリコプターの離着陸が想定されておらず、ヘリコプターの進入が極めて困難になっている。今後、関係法令の見直しを含め所要の検討を行い、火災等の緊急事態に備えてヘリコプターが離着陸できる場所を整備していく必要がある。

 これらの離着陸場の整備には関係者の理解と協力が必要であるが、消防としても、その准進に積極的に取り組んでいくべきである。

 

2 消防ヘリコプターの運用要領の作成等

 各地域において、種々の消防活動に消防ヘリコプターを広域的かつ効果的に活用するとともに、大規模災害が発生した場合等にあっては、都道府県の区域を超えて相互に応援し合うため、消防ヘリコプターの出動基準をはじめとして、地上消防隊等との連携や通信連絡の方法、航空燃料の補給体制等消防ヘリコプターの円滑な運用に必要な諸事項について、市町村の間で、あるいは市町村と都道府県との間であらかじめ取決めを行い、これを要領(マニュアル)化するなど関係機関の緊密な連携協力体制を確立しておくことが重要である。

 特に、消防ヘリコプターと地上消防力との有機的、一体的な連携を確保するため、消防ヘリコプターと地上消防隊等との通信連絡体制の整備を積極的に准進する必要がある。

 

3 広域的な救急システムの整備等

 救急業務は、消防活動の中でもとりわけ緊急を要し、また医療機関等との連携、調整を要するものであるので、消防ヘリコプターの出動基準、出動手続、収容医療機関の選定、消防ヘリコプターと救急自動車との連携方法等広域的な救急システムのあり方について関係機関が十分協議し、地域の実状に応じた形でこれを整備しておく必要がある。

 なお、救急業務への消防ヘリコプターの活用に際しての受益者負担等費用負担の問題については、第2の消防ヘリコプターの活用分野においても述べたように、ヘリコプター以外に適当な搬送手段のない緊急事態の救急患者の搬送について運用するという考え方をとるならば、受益者負担を導入するまでには至らないものと考える。しかし、将来、救急業務に、日常頻繁にヘリコプターが活用されるようになれば、これらの費用をすべて公費で賄うことには種々の問題が生じることも考えられるので、救急業務における受益者負担等費用負担のあり方を保険制度との関連なども含め今後の検討課題とすることが望ましい。

 

4 夜間飛行対策

 ヘリコプターの運航は、通常、有視界飛行方式により行われており、計器飛行装置や夜間照明装置を備えている場合でも飛行経路の状況、気象状態等を十分熟知していない限り夜間飛行することは極めて危険である。このため、夜間においてはヘリコプターの運航がなされていないのが一般的である。

 しかしながら、昼夜を問わず発生する災害や救急事案に迅速に対応するためには、夜間においてもヘリコプターの運航がなされることが望ましいので、今後、消防ヘリコプターの整備に当たっては、計器飛行装置を装備するとともに、消防としても可能な範囲で夜間飛行ができるよう、そのための体制や施設の整備、訓練など夜間飛行対策について検討していく必要がある。

 

5 消防ヘリコプター搭乗人員の養成等

 消防ヘリコプターの活用を積極的に推進していくためには、ヘリコプターの運航について技能証明を受けたヘリコプターの操縦士、整備士を確保することが必要不可欠である。

 しかし、現在、技能証明を有する者は全国的にも限られており、また消防活動の特殊性から、その活動に当たっては航空法上必要とされる知識・托術に加え、消防活動に特有の高度な知識・技術が要請される。

 したがって、今後、必要とされる操縦士、整備士等消防ヘリコプターの運航に従事する人員の計画的な養成を図る方策について検討し、各地域において消防ヘリコプターの円滑な整備運用が図られるよう十分配慮

していく必要がある。

 なお、今後、消防ヘリコプターに技術吏員等、消防吏員以外の消防職員が搭乗し、消防吏員と一体となっ消防活動に従事する場合が多くなるものと予想されるので、このような職務に従事する技術吏員等についても、地方公務員災害補償法の特殊公務災害の対象となるよう所要の措置について検討する必要がある。

以上

 こうした消防審議会の答申によって、わが国消防・防災ヘリコプターの全国配備は平成元年から本格的に動き出し、途中の阪神大震災で加速され、平成12年度末までに67機に達した。これらの機材は、ここに示されたような12年前の初心と意気込みに立ち戻って、さまざまな災害から国民の財産と生命を守るために十二分に活用されなくてはならない。

(西川渉、2001.3.13) 

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