消防ヘリコプター答申書の掲載

 

 

 先日の本頁に「ドクターヘリ報告書」を掲載した。首相官邸のオリジナルが消されてしまったためだが、何日かたって調べものをしていたら、同じようにドクターヘリを掲載しているホームページが見つかった。

 湘南救急活動研究協議会のホームページで、神奈川県西部の消防機関と医療機関が中心となって結成した消防職員のための教育研究組織らしい。その教育研究のためにドクターヘリ報告書が役に立つというお考えなのであろう。そのためには官邸の文書がいつ消されるかもしれないと思われたのか、それとも官邸は敷居が高いと思われたのか、ともかく報告書が掲載されている。

 そうと知っていれば、わが「航空の現代」に同じものを掲載することもなかったわけである。ただ湘南協議会の掲載分には巻末2つの資料が省かれている。西川委員提供資料はともかくとして、厚生省の資料はドクターヘリコプターの効果が明確にあらわれている点、貴重である。これがなくて抽象的な文言だけでは、理解の程度が半分くらいになるかもしれない。

 

  

 それでは、先にお約束したように、旧自治省になり代わって、10年前の「消防におけるヘリコプターの活用とその整備のあり方に関する答申」を本頁に掲載いたしたい。

 その前に余談ながら、この作業は必ずしも簡単はない。ワープロか何かのコピー原紙をスキャナーで取りこみ、それをホームページ向けのタグ文書に作り直して掲載するわけだが、実はスキャナーの取りこみにちょっと手間がかかるのです。

 というのは、取りこんだ文書に文字化けが多いためである。スキャナーというのは、私もよく知らなかったけれど、パソコン雑誌などには、新聞記事でも雑誌でも書籍でも、何でもかんでも読みこんで、自分のパソコンの中にデータベースをつくればいいなどと書いてある。

 いま私の手もとにある雑誌にも「簡単!スキャナーで電子スクラップ、雑誌も書類もスキャナーで取りこみテキストに変換。すっきり整理整頓して、全文検索も思いのまま」などと気楽な惹句が見られる。

 けれども実際は、必ずしも正確に読みこんでくれるわけではなく、誤字脱字が多い。初めはよく知らなかったので、読み取るべき原紙をガラスの台の上に逆さまに置いたり斜めに置いたりしたが、逆さまに置くと完全な文字化けになってしまう。正しくゆがみなく置かなくてはならないのだ。

 勿論これは最新の機械について話をしているのだが、原紙の種類によっても読み取り精度が異なる。きれいに印刷された書籍などは精度も高いけれど、新聞の読みとり精度は余りよくない。先日も20〜30行の新聞記事を3本取りこむだけで1時間以上かかってしまった。というのも、新聞活字が小さくて薄汚い上に記事の途中に折り目があったり、しわがあったりするためらしい。折り目やしわをのばし、薄手の雑誌か何かで押さえつけてガラス台の上にのせるのだが、なかなかうまくゆかず、手が黒くなるばかりである。

 結局は相当な範囲を、黒くなった手でキーボードから打ち込むような結果になってしまった。

 

 これが大きなワープロ文字になると比較的うまく読み取ってくれる。それでもあちこちに誤字があるから、校正作業は欠かせない。パソコン画面と手もとの紙をいちいち見くらべて、間違いや文字化けがあったらキーボードで直してゆく。

 近年、電子原稿をフロッピーやメールでやりとりするようになって、雑誌や報告書をつくるにも校正作業にはさほど苦労をしなくてすむようになった。執筆者が間違えていなければ、昔のように途中で活字を拾ったりタイプをし直したりするわけではないから、最初の原稿が間違いなく最後の仕上がりになってくれる。

 ところがスキャナーは、活字拾いやタイプが途中に入るようなものである。したがって、その結果に対しては昔ながらの校正作業が必要になる。ここに掲載する答申書も、前のドクターヘリ報告書もそうだったが、時間をかけて校正しなければならなかった。ほとほといやになって、途中からは家人に原文を読み上げてもらいながら校正した次第。つまり、この答申書の掲載頁は婦唱(読み上げ)夫随(校正作業)の苦心の作であります。

 では「消防におけるヘリコプターの活用とその整備のあり方に関する答申」へ飛んでください。

(西川渉、2001.3.13)

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