<エアバス>

A380初飛行せまる

 

 エアバスA380の初飛行は3月か4月かといわれてきたが、まだ飛ばない。別に気に病むわけではないが、先日の米紙が4月後半になるだろうと報じている。またメーカーは4月初旬にも飛ばしたいといっていたが、それが2〜3週間おくれると書いたドイツの新聞もあるらしい。

 ここまで来て慌ててもしょうがない。いよいよA380の初飛行は目の前にせまったわけである。

 A380の受注数は最近までに154機だそうである。ほかに50機以上の仮注文も受けている。まだ初飛行前というのに、予想外に多いというのがメーカー側の自慢。

 製造上の採算点は250機というから、早くもそれに近づいたといえるかもしれない。今から5〜6年後には、量産数も毎月4機になるとのこと。

 問題はドル安で、欧州勢としてはユーロ圏外との契約が不利になる。もっともA380の装備品はほぼ半分がアメリカ製品で、その点ではドル安が有利に働く。

 エアバス社は平均572席の超巨人機が、2023年までに1,300機近く飛ぶと予測している。そのうち、ほぼ半数が環太平洋地域のエアラインの使用機と見る。

 また2023年の時点で、世界20ヵ所の大空港のうち12ヵ所は環太平洋地域にあって、その最大が成田空港という。そして500席以上の超大型機の75%は、これら環太平洋地域の12ヵ所の空港を拠点としているとか。

 もっとも肝腎の成田空港を拠点とするはずの日本航空や全日空はA380を発注していない。とすれば、これはその発注を期待しての予測かもしれない。

 ただし、上の超巨人機は、全てがA380というわけではない。ボーイング社が発達型747を打ち出してくることは当然、とエアバス社は見ている。この発達型は今の747-400にくらべて、座席数が1割ほど多く、直接運航費は5%ほど少ないであろう、と。

 A380に関するもうひとつの話題は、今年のパリ航空ショー(6月13〜19日)に登場するかどうかという問題。

 大方の人は、当然出てくるだろうというが、エアバス社はまだ出るとも出ないとも明言していないらしい。

 あるいはショー会場の上空を1〜2度通過する「フライパス」はあるかもしれないが、会場に降りて駐機することはないだろうという見方もある。むろん機体の中は試験飛行のための測定機器ばかりで、観衆の立ち入りは、いずれにせよ不可能である。

 逆に、会場に駐機して外観を見て貰うのはもちろん、毎日デモ飛行をするというショー・スポークスマンの言葉も伝えられる。これでは、どれが本当なのか、分からなくなる。

 A380の試験飛行は原型4機でおこなわれる。そして2006年6月――つまりパリ・ショーから1年後にはシンガポール航空の定期路線に就航というきびしい日程が待っていて、わずかな時間も無駄にはできない。といってパリ航空ショーは、航空界最大の祭典であり、メーカーとしては何もせずに見過ごすこともできないだろう。

 果たして出るのか出ないのか、そしてまたいつ飛ぶのか、航空ファンの期待はふくらむばかりである。 

【関連頁】

   A380の希望(2005.1.21)

   A380の前途(2005.1.20)

   A380の披露(2005.1.19)

(西川 渉、2005.4.7)

 

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