<小言航兵衛>

催眠状態の日本人

 

 先日の本頁に、NHKは目が覚めたらしいと書いたが、あれは当方の思い過ごしであった。昨日のテレビで、誰かがマスコミはなぜ「北朝鮮」と言ったあと「何々民主主義人民共和国」という長ったらしい注釈をつけるのかという疑問を発していたので、おや?と思って注意していると矢張りこれまで通りいちいち注釈をつけている。NHKもまだ催眠術にかかったまま、目が覚めていなかったのである。

 第一、あれが民主主義国家なのか。親玉が選挙によって選ばれたわけでもないのに、国の名前まで僭称しているのである。

 マスコミが催眠状態にあれば、国民もまた同じ心理状態におちいってしまう。日本のテレビでは、北朝鮮の報道が拉致事件に触れず、親玉が謝罪したことも報じないと言って嗤っているが、こちらも同様で北朝鮮問題でも報道されていないことはまだまだたくさんあるはず。

 むろん記者の知らないこと、見ていないことまで報道する必要はない。問題は知っていて報道しなかったり、黒く見えたものを白と報道することである。今の報道が、真実を伝えているのかどうか怪しいものだ。 

 かくて、今や日本中が催眠術にかかってしまった。この蜂の巣をつついたような騒ぎ、というか狼狽ぶりを見て、かの親玉は内心ほくそ笑んでいることだろう。人の見ていないところでは高笑いをしているに違いない。

 日本のマスコミがあやしいのは、国交が戻れば次は平壌に特派員を常駐させ、支局を置きたいという魂胆があるからだ。このことは、かつての北京報道と同様で、誰もが中国政府の顔色をうかがい、真実を報じなかった。産経新聞1社だけが本当のことを書いて追放されたと聞いたが、今も新聞、テレビの各社は北京に遠慮しながらの報道である。

 そのため中国に関しては、これまた大多数の日本人が催眠状態にある。昨日も集団催眠術にかかった日本人1万数千人がわざわざ北京まで出かけて行き、みんなそろって江沢民の演説を聴いたというから、悪い夢を見させらているのでなければ、よほど頭がおかしいのであろう。

 同じことは外務省にも言えることで、この20年余の拉致問題を考えると、外務官僚の頼りなさというか、身勝手な無責任ぶりは全く許せない。警察にストーカーを訴えても取り合ってくれず、そのうちに殺されてしまったという事件があったが、拉致被害者の家族の訴えを聞こうとしなかった外務省も全く同じである。どう考えても外務省なんぞは不要だ。ここに再び三度び廃止を提案しておきたい。

(小言航兵衛、2002.9.24)

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