<オシコシ航空ショー>

ホンダジェット事業化へ

 

 ホンダ技研は7月25日、米ウィスコンシン州オシコシで開催中の実験航空ショーで、かねて開発してきた小型ビジネス機「ホンダジェット」の販売と生産に乗り出すと発表した。

「空飛ぶホンダ・シビック」ともいうべき軽ビジネスジェットは、飛行性能、高品質、快適性の3点を主目標として設計、開発された。左右の主翼上面には、支柱の上に同じくホンダの開発になるHF118エンジンを取りつけて独特の外観を持つ。

 実際の事業に当たるのは米国に新設される子会社で、2009〜10年までに型式証明を取得する計画。しかしホンダとしては初めての航空界参入でもあり、事業の推進にあたってはパイパー・エアクラフト社と提携し、販売、部品補給、技術支援などの協力を受ける。生産工場をどこに置くかは明らかにされていない。価格も公表されていないが、400万ドル以下と伝えられる。

 具体的な販売活動は今年秋からの予定で、詳細は10月のビジネス航空ショー(NBAA)で公表されるもよう。


ホンダジェット、オシコシ実験航空ショーで事業化を発表

 こうした軽ビジネスジェット(VLJ:Very Light Jet)は軽飛行機のジェット化とでもいうべきもので、アメリカを中心にさまざまな開発が進んでいる。大きさは8人乗り以下で、個人向けの自家用機やエアタクシーなどが目的。FAAはVLJについて、2016年までの10年間に約4,500機の需要が出ると見ている。その先頭を走るのはエクリプス500で、今年中に型式証明を得て実用化される予定。価格は130万ドルという。

 ホンダジェットは6〜7人乗り。胴体が複合材製で、エンジンを胴体尾部に取りつけないことから、キャビン内部が広くなり、飛行速度が増し、燃料効率が良い。また騒音も少ない。これまでの飛行試験では高度13,100m、速度772km/h、航続距離1,970kmの記録を残している。 

 ホンダジェットの基本データは下表のとおり。

搭乗者数

6〜7人(乗員2人+乗客5人、または乗員1人+乗客6人)

最大速度

778km/h

エンジン

HF-118ターボファン×2基

全長

12.67m

全幅

12.2m

全高

4.1m

実用上昇限度

12,497m

航続距離

2,037km

 

 ホンダジェットに関する20年間の足跡は下表の通りである。

出  来  事

1986

ホンダ技研、日本で小型航空機およびジェット・エンジンの研究を開始。

1993

ミシシッピ州立大学と共に、複合材製の機体研究を開始。MH-02機を製作し、1996年まで試験続行。

1995

ホンダ初のターボファンHFX-01を製作、高々度試験開始。96年まで継続。

1999

HF118ターボファン・エンジンの開発開始。小型、軽量、低排気、燃料効率の良さが目標。

2000

ノースカロライナ州のピードモント・トリアド国際空港に研究、製造、飛行試験のための施設を建造。

2002

HF118エンジンの高々度試験開始。研究の成果を初めて論文として発表。

2003

12月3日、ホンダジェット初飛行。

2004

2月16日、HF118エンジンについてGEと提携、合弁会社GEホンダ・エアロ・エンジン社を設立。HF118の開発、製造、販売が目的。さらにホンダ・エアロ社を設立して事業の本格化に乗り出す。

2005

7月28日、オシコシ航空ショーでホンダジェット公開。

2006

7月25日、オシコシ航空ショーでホンダジェットの事業化を発表。

 

(西川 渉、2006.7.29) 


オシコシに登場したホンダジェット

【関連頁】

 ホンダジェット初公開(2005.8.17)

 ホンダ、GEと戦略的提携(2004.5.6)

 ホンダジェット初飛行(2003.12.15)

 ホンダジェット詳細を公表(2003.10.14) 

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