<小言航兵衛>

中国製ラプター

 中国が開発中の戦闘機は予想外に強力で、どうかするとアメリカの最新鋭機F-22ラプターを凌駕するかもしれないと伝えられる。

 中国の軍事力は大方の考える以上に急速に強化されつつある。新しい戦闘機も8年以内にF-22と同じ能力をもって、立ち現れるであろう。これはペンタゴンが予測していた時期よりも早い。

 ゲーツ国防長官は昨年、中国は2020年までに第5世代の戦闘機を実現するが、実用になるのは2025年と見ていた。ところが今や、2018年までに第5世代の戦闘機を中国が実用化するというのがアメリカ政府の公式見解。

 第5世代の戦闘機とは、形状、材料、エンジンが敵レーダーにかかりにくく、しかも最先端の攻撃能力を有するものをいう。その典型がF-22だが、アメリカ政府は同機の当初生産数を750機程度と考えていた。しかしオバマ政権になって軍事費削減のために187機で生産を終わることとした。が、果たしてそれでいいのか、疑問視する向きも少なくない。

 いうまでもなく、中国の軍事力が強化されれば、アメリカの軍事力は相対的に下がる。台湾をめぐる米中の駆け引きも微妙な事態を迎えるであろう。

 米中もし戦わば、中国の考えることは先ず米空軍基地を叩いて、航空機の戦闘能力を抑える。それには巡航ミサイルや弾道ミサイルを使用し、そのうえで戦闘機によって制空権を確保しようというもの。

 したがって将来に向かって余りに軍事費を削減すれば、禍根を残すことにもなりかねない。F-22の削減ばかりでなく、たとえば台湾のF-16がすっかり老朽化して、そろそろ使いものにならなくなりつつある。こうした状態は、中国を喜ばせるだけでなく、現実の問題を惹き起こすことにもつながる。

 これは他人事(ひとごと)ではない。アメリカがみずからの武力を削り、台湾の戦闘能力を放置するなか、その真似をして防衛は悪といわんばかりの考え方で沖縄の基地問題を引っ掻き回したあげく、中国に向かっては朝貢外交を進める鳩山・小沢政権では、日本が中国の餌食になる日もそう遠くないであろう。

(小言航兵衛、2010.5.25)


新しい戦闘機の開発を、写真と模型で誇示する
中国の展示(2010年2月シンガポール航空ショーにて)

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