<ハリケーン>

蟻の一穴

 アメリカ南部は9月下旬、「カトリーナ」に続いて、再び「リタ」と名乗るハリケーンに襲われた。

 ルイジアナとテキサスの州境を狙うハリケーン「リタ」。
2005年9月23日、気象衛星からの赤外線写真。

自動車に襲いかかる巨大波浪

風雨と洪水の中を走る車

嵐のあとの惨状を上空から調査

 いったん水がひきかけたニューオーリンズでは、修復したはずの堤防が決壊して再び大洪水となった。まだ強風が収まらぬ中で、決壊個所に飛来したチヌーク・ヘリコプターが1.5トンの土嚢を次々と落としてゆく。 

ここで1回に2個ずつの土嚢を吊り上げ、堤防の決壊個所に持ってゆく

上から見た土嚢の吊り上げ場

吊り降ろし

まだアフガニスタンで戦っているチヌークもいる。
去る6月29日にはタリバンの地上砲火で撃墜され、
乗っていたアメリカ兵17人が死んだばかりである。
チヌークが撃たれたのは、今年2回目で、
4月6日にもアメリカ人18人が死亡した。

 「千丈の堤も蟻の一穴から」というが、危機管理を誇ったはずのアメリカは、いつの間にか穴だらけになっていた。シロアリに食い荒らされていたと云った方がいいかもしれない。

 アフガニスタンやイラクでも、アメリカ軍の精鋭が小さな穴をふさぎきれず、至るところが決壊しつつある。今や土嚢を落とすくらいでは修復不可能――というよりも、手が着けられぬ状態となってきた。

 出鱈目大統領を頂くとこんなことになる。日本も、これを他人事(ひとごと)とは云っておれない。

【関連頁】

 火攻め水攻め(2005.9.14)

 虚構の危機管理(2005.9.11)

 人命救助が優先(2005.9.9)

 ヘリコプター救助活動つづく(2005.9.6)

 再びヘリコプター救助活動(2005.9.4)

 史上最大の救助活動(2005.9.2)

(西川 渉、2005.9.28) 

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