航空の現代電脳篇 → ホームページ作法(24)

アクセスとリンク

 

 

 年の初めにあたり、恒例によって昨年1年間の本頁へのアクセス数をご報告し、併せてアクセスしていただいた皆さんに感謝申し上げたいと思います。

 1年前の年末は、本頁のアクセス・カウンターが32,600件を示していた。それが、この大晦日には83,882件になった。1年間に延べ5万余の人びとに見ていただいたことになる。内訳は下表の通り。

 1年前にご報告した99年中のアクセス数は延べ23,849件だったから、2000年の実績は2倍強に増えたことになる。ご愛顧のほど、まことに有難うございます。 

 

2000年

アクセス数

日 数

1日平均

1  月

2,719

31

87.7

2  月

2,821

29

97.3

3  月

3,267

31

105.4

4  月

3,481

30

116.0

5  月

3,293

31

109.7

6  月

4,122

30

137.4

7  月

3,995

31

128.9

8  月

4,494

31

145.0

9  月

4,958

30

165.3

10  月

6,105

31

196.9

11  月

5,927

30

197.6

12  月

6,033

31

194.6

合  計

51,282

366

140.1

 上の表を見ると、年の前半は1日平均100件前後だった。それが年のなかば頃から上がりはじめ、秋になって200件に迫った――そんな傾向が見えるような気がする。1年間の平均は1日140件だが、最後の3か月間は190件を超えた。こまかく見ると、休日は1日150件前後、週日は200〜250件で、250件を超えた日もときどきある。

 秋になって、なぜアクセス数が増加したのか。この1年ほどの間にインターネット人口が急増したのではないかと思うが、実際のところはよく分からない。急増したという実感は、接続までに時間がかかるようになってきたこと。とりわけ深夜は電話料金が割安になるせいもあって利用者が増える。最近はネット・オークションも流行らしく、投票の締切りが夜中に設定されているものが多いせいか、私自身はオークションに参加したことはないけれども、ブラウザーが全く動かなくなったりする。

 先般の野村総研の調査では、インターネット人口の割合がスェーデン6割、アメリカ5割、シンガポール4割、韓国3割、日本2割という結果だったとか。これを見て、なんだ日本はまだこれっぽっちかと思い、その後進性を脱け出すためにIT革命を促進しなければならないという反応が強いようだが、今のままで利用者が増えるとますますネットが混雑し、使いにくくなるであろう。もっとインフラ整備をして高速化することが先決である。

 その点、拙宅では最近ケーブルテレビを導入してインターネットに使うようにしたので、ブラウザーも一人前に動き出した。ほんとか嘘か、このように便利なケーブルテレビが普及せず、しかも利用料が高いのは一地区一社という規制があるからと聞いた。とすれば、首相みずからIT革命を標榜しながら、一方で反動的な規制を設けているのは、まことにおかしな話である。日本政府のちぐはぐで、矛盾だらけの政策がここにも露呈している。

 もうひとつ、『航空の現代』へのアクセス増は、有難いことに本頁に向かってリンクを張っていただいているところが増えてきたからかもしれない。というのは、今週の『日経パソコン』(2001年1月8日号)が「検索エンジン活用大全」と題する特集記事を掲載しているからだ。その中で「Google」というエンジンが高く評価されているので、私も早速試してみた。

 そこで気がついたのは、キーワードに本頁の表題「航空の現代」を入れて検索したところ、これまでは主として本頁そのものが一覧表示されるのに対し、Google では冒頭に本頁が表示されるけれども、その後に並んでいるのは、いずれも『航空の現代』にリンクを張っているサイトばかり。無論これまでのエンジンも、本頁と共にほかのリンク・サイトも表示していたが、Google はそのあたりが明確であり、量も多い。

 日経パソコンも Google の考え方として「対象となるWebページの内容よりも、そのページに張られているリンクを頼りにお薦め度を判定する」と書いている。「多くのWebページからリンクが張られていれば、お薦め度は高くなる……推薦者が多いのは良いWebページというわけだ」

 『航空の現代』がこれに当てはまるかどうかは別として、冒頭で本頁にアクセスしていただいた方々にお礼を申し上げたのと同様、ここでは本頁にリンクを張っていただいた方々に御礼申し上げなければならない。

 ちなみに Google が見つけてくれたウェブサイトは30か所余り。その中には私の知人や友人のつくっているサイトもあるが、ここでお礼を兼ねていくつかをご紹介したい。

 そのひとつ、米海軍の主力戦闘機ホーネットにちなむ「放熱」サイトでは、「『航空情報』などのヘリコプター関連記事でおなじみの西川渉さんのホームページ。ヘリコプターと航空について、ジャーナリスティックなコラム満載で、積極的に更新されている、たいへん興味深いページです」という紹介をいただいた。

 また「Civil Aviation」というサイトの「乗り継ぎ案内」では「航空を主にした小論文。ヘリコプターの利用について特に詳しい。読みごたえあり」。さらに「挿絵展示館」では「航空機・ヘリコプターに関するコラム集」とあり、「WELFA」では「航空機――とりわけヘリコプターを専門とする航空・技術評論家西川渉さんの公式サイト。飛行原理から運用思想まで踏み込んだレポートも読めるなど、ヘリコプターについて知りたいことがあればまずここへ」と推薦していただいた。

 「PHOTOWORKS Website」には「ヘリコプターに関する莫大な文献。業界必見です」、「高積雲」には「航空評論家西川渉氏によるサイト。ヘリコプター業界に長いあいだ身を置いてきたご自身の経験から、ヘリコプターに関して独自の視点による論を展開する。プリントアウトして見るべし」と書いてある。

 また「勝手にかかみがはら航空宇宙博物館を紹介しております」というサイトでは「内容についての意見や問い合わせ等は博物館のほうにはしないで下さい」とユーモラスな断りをつけた上で、「航空宇宙関係のホームページ」と題するリンク集の中に「航空の現代――作家西川渉氏のホームページ。航空ジャーナリストとしての航空評論的ページです」と、とうとう作家にしていただいた。

 OH-1“忍者”のサイトでは「航空の大御所、御意見番、西川渉大先生による大量の評論、解説、小言(笑)が読めます」と、かたじけなくも半分おだてられ、半分からかわれている。むろん私は大御所ではないし、そんな畏れ多い称号は昔は木村秀政先生、今ならば東昭先生のものである。御意見番というのも、大久保彦左衛門のように徳川3代将軍につかえて意見を言う役目だろうが、そんな大それたことはできそうもない。それに先生に大をつけるのはからかい言葉だと思うが、私は気にしません。小言の後に(笑)とあるのには、私もつられて笑いました。

 さらに、その後に「西川 渉氏の“畏友”宮田豊昭氏の名文が読めます。今後のコンテンツの追加に大期待してます。ベル47を紹介する文の最後の部分、少しだけ引用させてください。 ――彼らは今、スーパーピューマに乗っている。けれど、どの機種がいちばん良かったかと聞けば、口を揃えてベル47G2と答える。なぜなら、G2は青春の機種であるからだ」としてDMBパイロットスクールのサイトが紹介されている。「畏友」と共にOH-1サイトのウェブマスター(実は、ヘリコプターの設計と開発を推進する第一線のエンジニア)に感謝申し上げます。

 変わったところでは――というとウェブマスターの方に叱られるかもしれぬが、 「偏屈者の部屋」というサイトで「偏屈を自認する管理人が自信を持ってお勧めするサイト」の中に『航空の現代』が「名指し」されている。光栄の至りです。

 それに「落胆者の他頁紹介」では本頁の「小言篇」が取り上げてあり、「日本と世界の航空界を展望する報告と論考、ならびに多少の電脳批評と社会時評という簡潔な案内を掲げるサイト。日本の航空界事情に全く興味を持っていない私が、これを紹介する理由は[多少の電脳批評と社会時評]が読みやすくわかりやすい上、特に電脳業界に浸かっていないと思われるご年輩の方によるものだから」とあって、「人前でキスをしたり、手を握ったり、化粧をしたり、ものを食べたりする行儀の悪い若者たちはカバやワニみたいだというのである。こういう説教臭さがたまらなく好きだ」と喜んでいただいた。もっとも私は説教するつもりはなくて、ただただ憤慨しているだけなんですが。

 このように航空関連ではないところからのリンクも多い。たとえば映画評のサイト「エービーシネマ」では「航空関係の記事が充実していて読みごたえあります。特にヘリコプター関係が非常に詳しいです」と書いていただいた。また「ジャパン・サウスポー・クラブ――すなわち左利きのコミュニティです。左利きの方はもちろん、左利きに興味のある右利きの方もお楽しみください!」というサイトには本頁の「左利き矯正法」「助数詞と左利きの矯正」「医師と左きき」が紹介されている。

 また「七つの海のティコ」というのはフジテレビのアニメ番組であろうか。その第9話にヘリコプターが登場するらしく、原作を考える際に参考にしていただいたらしい。「ゲイルがヘリコプターに乗って登場するけど、ヘリっていつ出来たんだろう。というので歴史を調べると、なかなかよさそうなサイトを発見。『航空の現代――歴史編』によると、ヘリコプターの起源は相当古いらしいが(ビンチ村のレオナルドさんによる設計図は私も知ってるぐらい有名。あの「タイムボカン」でも飛んでたぞ)、実用化――つまり人を乗せて飛ぶとなるとやはり20世紀に入ってからということらしい。安定した飛行ができるようになったのは、オートジャイロが発明された後の1930年ごろという」

 「藤岡洋介ホームページ」では「事故の刑事責任追及を見直せ」と題する頁に「去年起きた茨城県東海村JCOの臨界事故、雪印の食中毒事故、そして最近明るみに出た医療事故と人間のミスが原因の事故はとどまるところを知りません……」という前書きから始まって、事故の刑事責任を論じたあと、「刑事責任追及の弊害を指摘するWebサイト」のひとつに「航空の現代:警察不祥事(5)」が上げてあった。

 「竹下治彦のページへようこそ」というサイトでは「読み物」の頁に「航空の現代――危機管理、日本語などについて」という紹介がある。

 「慶應義塾大学文学部図書館・情報学専攻の頁」は本と雑誌の電子化に関する頁に「電子出版をどういう方向で活かすべきかの見解を著者が述べた論文記事」として「政府刊行物は電子出版へ」移行すべきだという『航空の現代』の3年余り前の主張が取り上げられている。

 学校といえば、母校都立戸山高校の同窓会、城北会のサイトでも「四中・戸山高校卒業生のホームページ」から「航空の現代」がリンクされている。ただし私は、この頁のリンク先が卒業生の若い方から順に並んでいるのが気に入らない。結果として「航空の現代」は後から3番目で、延々とスクロールしなければ出てこない。これから歳の順に消えて行くことを考えれば、卒業の古い者を先頭にすべきではないか。リンクを張っていただきながら注文をつけるのもどうかと思うが、ご面倒でも修正をお願いしたい。

 余談ながら、この頁で私の後に掲示されているのは「タンゴの部屋」という専門的なサイトである。作者の石川浩司氏は小生入学のときから新聞部でご指導をいただいた先輩だが、年輩者ほど末席に置くというのは失礼だ。先輩を前の方に持ってきて大事にしようという考えは、今の学校にはないのだろうか。

 とはいえ、小言航兵衛のように本気で怒っているわけではない。こんなことが言えるのも母校だからである。その母校同窓会が毎年1度ずつ出している機関誌を『城北会誌』というが、その編集長、三浦正恵氏(女史ではない)も新聞部の同級生で、ときどき本頁を見ては面白そうな作文があると採用してくれる。二た月前に出た第48号には「五輪ピック」を拾っていただいた。先日さる役所の委員会で、この作文を見た先輩にあたる委員の方から「同窓だったんですね」と声をかけられた。

 本頁は消防、救急関連のサイトからもリンクを受けている。「消防関係検索ページ」では「消防職員参考のページ」として「航空の現代――ヘリコプターによる世界の防災および救急システムを展望し、日本のあり方を提言する」と紹介されており、「防消火関係リンク集」からもリンクされている。

 「救急医療メーリングリスト」のサイトでは「救急医療メモ1999」に『航空の現代』の「高速道路でのヘリコプター救急」が引いてある。「WomenExcite」という物騒な表題の「ヘリコプター」頁には「航空の現代――世界のヘリコプターの救助活動や特徴、消防ヘリコプターなど数々の記事とエピソードを紹介している」

 「ヘムネット」は特定非営利活動法人「救急ヘリ病院ネットワーク」の試作ページとのことだが、その中の「救急ヘリLINK」に「航空の現代――西川氏のホームページです」とある。なお、このサイトには、ヘリコプター救急に関する報道記事が多数収録されている。以前の報道記事を確認したいようなときは大いに参考になろう。

 「Rotor Wind」のサイトには「ドクターヘリ調査検討委員会報告書の要約と解説――同委員の西川渉様がご自身のサイト『航空の現代』でドクターヘリ調査検討委員会報告書の要約と今までの活動経過を分かり易く解説していらっしゃいます。是非ご覧下さい」と書いていただいた。

 「平が岳ホームページ」には「山岳事故時のヘリコプターの活用について考える」頁があり、拙著『なぜヘリコプターを使わないのか』(1996年、中央書院刊)からの引用と共に「著者西川渉氏の『航空の現代』ホームページ」がリンクされている。

 なんだか文章がごちゃごちゃになってしまったが、以上のようなリンクの大半は Google の検索によって初めて知ったものである。ほかにもいくつか、リンクを張っていただいているサイトがある。その中には「日本航空乗員組合」のサイトのように、クリックしても『航空の現代』が出てこないところがある。リンク先のURLが古いままになっているためで、これは本頁を置いているプロバイダーが1年余り前だったか、URLを「meshnet.or.jp」から今の「biglobe.ne.jp」に変更したためである。まことに迷惑なことで、お気がつかれたら、ご面倒でも直していただければ幸いです。

 それにしても、こうして見てくると、インターネットが文字通り網の目のような相互の連結によって成立していることが分かる。しかも連結することによって、きわめて便利に迅速に情報や知識が交換され、比較され、強化されてゆく。インターネットによる情報は信頼できないとか、断片的だという非難があるが、いくつものサイトが連結されることによって、そうした欠点も補強され、さらには相乗効果を発揮することになるであろう。

 立花隆のいう『インターネットはグローバル・ブレイン』(1997年、講談社刊)とは地球をひとつの脳に見立て、脳細胞としての個々のサイトが神経繊維としての電話回線や光ファイバーによってつながっている状態であろう。とすれば、インターネットの現状はまだ幼児期にあって、神経繊維がどんどん伸びつづけ、連携密度が増している段階にちがいない。

 成熟期に達するのはいつのことか分からぬが、人間の脳と違って無限に成長を続けるのかもしれない。ここでは『航空の現代』を例にとったけれども、どのサイトであっても上に見たような連携強化が進むならば、頭脳としてのインターネットの機能はやがて素晴らしいものに発展するであろう。

(西川渉、2001.1.14)

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